中日の新外国人トニ・ブランコ内野手(28=ロッキーズ2A)が驚異のパワーを見せつけた。沖縄キャンプ初日の1日、来日後初のフリー打撃を行うと、推定140メートル弾など、95スイング中15本のさく越えを放った。中でも左投手からはさく越え8連発の大爆発。退団したウッズの22分の1にも満たない年俸で獲得した“格安新助っ人”が期待感十分のスタートを切った。

 ブランコの188センチ、102キロの巨体が鋭く回転した。打球は弾丸ライナーで中堅へ伸びると、勢いを増して北谷球場のバックスクリーンを直撃。キャンプ初日のフリー打撃でいきなり推定飛距離140メートルの1発を放った。新助っ人の実力を推し量ろうと見守っていた関係者の間からはどよめきが起きた。

 「きょうは最初だから7、8割の力だよ。センターから右へ素直に打つことを心がけた。初日だから最初は難しかったけど、だんだんリズムが出てきた」

 右投手、マシン、左投手の順番で行われたフリー打撃は言葉通り、最初は低調だった。特にマシン打撃ではタイミングが合わず、ポップフライを打ち上げるなど苦しんだが、最後に左の打撃投手と対戦すると急変したかのように鋭い当たりを連発。8連続弾を含めて95スイング中15本のさく越えを放った。中堅から右へ11本とコースに逆らわない姿勢も際立った。

 「一般的に右打者は左投手に強いものだから」。

 ブランコはこう話したが巨人には内海、阪神には天敵・下柳、岩田と、ライバル球団には軸となるサウスポーがいる。それだけにちらりとのぞかせた“左キラー”の片りんも頼もしかった。初めてブランコの打撃を見た石嶺打撃コーチも「スイングがシャープ。まだ初日だからどんな打撃スタイルかはわからないけど、やわらかさも持っている」と好印象だったようだ。

 昨季限りで年俸6億円のウッズが退団。ブランコはその22分の1にも満たない年俸30ドル(約2700万円)で獲得した。昨季はロッキーズ傘下の2Aで打率3割2分3厘、23本塁打、88打点。ドミニカ・ウインターリーグでは全体4位タイの7本塁打を放った。落合監督は一塁が守れればクリーンアップを任せる方針だ。午前中の投内連係では打球をはじく場面も見られたが、逆にハンドリングのやわらかさも見せた。“格安助っ人”は上々の滑り出しを見せた。【鈴木忠平】

 [2009年2月2日11時5分

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