オリックスのテクニカル・アドバイザー(TA)に就任した野茂英雄氏(40)が5日、宮古島キャンプで指導を開始した。昨秋のキャンプに続く臨時コーチとして、ブルペンで数人の投手にアドバイスをした。WBC日本代表候補の小松聖投手(27)には、トルネード投法のしぐさをしながら、軸足に体重を乗せて投げる意識を促した。この日から始まった紅白戦でも若手投手陣に鋭い視線を送った。

 マウンドで熱のこもった投球を繰り返す小松に、野茂氏がゆっくりと近づき、声をかけた。代名詞でもある「トルネード投法」のように上半身をグイッとひねり、右足のあたりを指さした。小松もまねするように少しだけトルネード気味のしぐさをした。

 小松が説明する。「しっかり右足に重心をためて投げるということです。(その後は)あまり上体が突っ込まないように意識して投げました。言われたことを修正しました」。悪い癖として把握していた部分だった。「的確に指摘してもらいました」と、うなずいた。

 野茂氏が初めて臨時コーチを務めた昨秋の高知キャンプで、小松はブルペンに入らなかった。つまり昨季15勝右腕の投球を間近で見るのは初めて。重心の話が終わると小松の右後方に移動。今度はノーワインドアップで顔の前にセットしたグラブに着目し、身ぶり手ぶりで会話した。

 3日間コーチした昨秋以降、佐々木チーフ投手コーチらを通じてチーム情報を収集。前日の現地入り後は現状の説明も受けていた。各投手の仕上がりの早さを心配していたが、実際に見て「そこまででもなさそう」と周囲に感想を話した。

 8時30分出発の早出ウエートトレ組と一緒に選手宿舎を出発。午前中は約1時間半ブルペンにこもり、午後は紅白戦を大石監督、投手コーチと並んで捕手後方でチェックした。試合中、クイック投球の状況別の使い分けについての意見を聞かれた同監督は「よく見ている」と目を細めた。

 6時間半のグラウンド滞在中は頻繁にスタッフや選手と接触し、談笑も。精力的かつ自然体で始動した。【柏原誠】

 [2009年2月6日8時53分

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