地獄の3番勝負!

 阪神真弓明信監督(55)が若手のふるい落としに動く。オープン戦開幕となる28日のオリックス戦(安芸)から、キャンプ仕上げの3連戦が始まる。指揮官は打ち上げ後(3日)の1、2軍入れ替えを視野に入れ、この3連戦を当落選上にいる選手のサバイバルマッチに定めた。27日には、不振にあえぐ桜井広大外野手(25)に猛ゲキを飛ばすなど、若手の奮起を促した。

 気さくに選手と触れあう真弓監督が、初めて見せた表情だった。マシン特打に臨む桜井をじっと見つめ、声をかけた。ジェスチャーを交え、打撃フォームを指導。いつもの風景に見えたが、この先が違った。

 「その打ち方で何かを感じてくれ!」。

 荒らげた声が安芸の室内練習場に響いた。笑いはなく、真顔で眼光は鋭かった。浮上の気配が見えてこない右の大砲候補に激しくゲキを飛ばした。

 これは桜井だけに向けられたものではない。前日26日の紅白戦では、赤星、新井ら主力選手が順調にスタートを切ったが、それを上回るアピールをした若手はいなかった。28日からのオリックス2連戦、3月2日に予定される紅白戦。キャンプの仕上げとなる3連戦が、若手の第1次サバイバルの舞台となる。「テストか」と聞かれ、即答した。「そうですね。どうしても、しようがない。(2軍降格も)もちろん、ある。ファームでも毎日練習している選手もいる。(地元に)帰ったら、入れ替えを考えている」。チャンスを多く与えたいが、時間には限りがある。結果を出せない選手は1軍にはいられない。非情の宣告だった。

 今回の3番勝負で、ダメの烙印(らくいん)を押す考えはない。「1度ミスして、ファームに落ちたから、チャンスがないわけじゃない。シーズンを通して、頻繁に入れ替えをする。思い切ってやってくれたら」と指揮官は言う。まずは開幕1軍を賭けた戦いになる。そのためのハードルは上がる。単純にヒットを打つだけでなく、緻密(ちみつ)さも要求する。「内外野の中継プレーを細かくチェックしたい。走塁でも相手のミスやファンブルを見て、次の塁を狙うことをどんどんやらせたい」。紅白戦では守備の連携に課題を残したが、同じことを続ければ2軍が待っている。

 当落線上の選手は多い。投手は横一線で争っている最中で、まずは主に野手が対象になる。「捕手も(2軍に)あと2人いる。その2人も見たい」。送球の精度が定まらない狩野も危ない。桜井も当然、例外ではない。和田打撃コーチは「やっていることが簡単に出と思っていないが、1カ月後を考えると、そういうもの(結果)も必要。ベンチが約束された立場ではない」と言った。

 「勝ちながら育てる」。そんな難題をクリアするには、時に厳しいムチも振るわなければならない。出てこい、若手!

 真弓監督は鋭い視線で、3試合を見つめることになる。【田口真一郎】

 [2009年2月28日11時40分

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