<巨人3-5広島>◇4日◇東京ドーム

 広島が4番栗原健太内野手(27)の連夜の大暴れで、巨人に開幕2試合連続の逆転勝ちをした。1-2の8回2死一、二塁で巨人M・中村のスライダーをすくい上げ、1号逆転3ラン。WBCに呼んでくれた巨人原監督の前で開幕戦3安打に続き、勝負強さをみせつけた。

 東京ドームは栗原の独壇場だった。一塁を回るとき、指を天に突き上げた。本塁手前では、三塁ベンチに向かって両腕を突き上げる。これが4番のひと振りだ。1点を追う8回2死一、二塁で打席が巡ってきた。燃える状況だが、心は冷静だ。巨人M・中村のスライダーを読み切って一瞬、タメをつくる。ジャストミートして、左翼席に逆転3ランをたたき込んだ。

 栗原

 インサイドの球を狙っていて(ファウルで)うまくさばけました。もう投げづらいだろうから、外のスライダーか抜いた球を頭に入れていた。ちょっとヤバいですね。寝られないですね!

 4番として、最高の仕事ができました。

 勝利を決定づける今季1号は通算99本塁打。節目の記録に王手をかけ、チームを05年以来、4年ぶりの開幕2連勝に導いた。

 連覇を果たしたWBCは栗原にとっても「財産」になった。一喜一憂した開幕前の日々が、スケールをさらに大きくした。日本代表候補として宮崎合宿に参加したが、2月22日に落選。「悔しいです」と心境を明かした。その一方で、必死に気持ちを切り替えた。

 オープン戦の巨人戦を翌日に控えた3月9日。山口・周南市で、宿舎近くのすし屋に入ったときだ。テレビには、WBC第1ラウンド韓国戦が映っていた。関係者が気を使ってテレビを消そうとすると、栗原が制して「別にいいですよ。つけておいて下さい」と逆に食い入るように熱戦に見入った。翌10日巨人戦では逆転2ラン。落選のショックを完全に吹っ切った。最後には、WBCにまさかの緊急招集。世界の頂点を決める1戦でプレーし、精神面でもタフさを増した。

 巨人を率いるのは、WBCで日本を連覇に導いた原監督だ。その目前で“感謝”の1発を放った。栗原は「最後まで何が起きるか分からないですからね」と話す。しぶとく粘るカープらしい野球で強敵を倒した。新球場元年に燃えるブラウンカープが、最高のスタートを切った。【酒井俊作】

 [2009年4月5日8時13分

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