<楽天2-5西武>◇11日◇Kスタ宮城

 昨季日本一の西武が3連勝で首位タイに躍り出た。11日、楽天2回戦(Kスタ宮城)で、9番打者が大暴れ。今季初スタメン出場の佐藤友亮外野手(30)が先制打、決勝打を含む2安打4打点の活躍で、5-2で快勝した。9番の打率4割2分9厘、10打点は打順別でチームの打順別打率でトップを誇る。渡辺監督の選手起用がことごとく的中。下位でも気が抜けない、自慢の強力打線をひっさげて、「指定席」に躍り出た。

 西武は、9番打者が一番怖い。今季初先発の佐藤が先制、決勝打と5点中4点をたたき出した。渡辺監督は「昨年から9番は重視してきた。切れるのと、つなげて上位に回るのは大違い。これからもいろんなタイプの選手を使っていく」と自信を見せた。佐藤だけでなく、ボカチカ、赤田ら起用された選手が、ことごとく結果を出す。投手の左右や相性によって、適材適所で配置できる選手層の厚さが、チームを今季初の首位へと押し上げた。

 “恐怖の9番”に座ったのは、長谷部キラーの佐藤だった。昨季4打数3安打の相性を買われてのスタメン起用に、満点回答でこたえた。5回1死二、三塁では、先制の左前2点適時打。同点に追いつかれた9回2死一、二塁では、決勝の2点適時三塁打。打球が前進守備の左中間を抜け、悠々と三塁に到達した佐藤は「いやあ、おいしかったですねえ」と胸を張った。

 中堅クラスと呼ばれる30歳になってわかることがある。「監督が選手のことを考えて使ってくれているのがよくわかる。恩返ししたかった」と話した。もう1人のためにも打ちたかった。慶応高、慶大で同期だった吉田翼さん(30)は4年前に交通事故にあい、現在は車いす生活を送る。背番号30で入団した佐藤は、活躍が認められて番号を変えるにあたり、吉田さんが社会人時代につけていた10番を選んだ。志半ばで野球の道を断念した友人の思いも背負っている。

 若手の台頭もあり、以前のように出場機会は多くないが、準備は決して怠らない。「ビデオは見てきました」と配球を独自に分析。1本目はスライダー、2本目はチェンジアップ。的確な読みを、バットに乗せるだけだった。少ないチャンスを生かし、4打点を挙げた。打線に切れ目がなく、下位でも気が抜けない。開幕でもたついた昨季は14試合目で首位に立ったが、9番が元気な今季は8試合目で“指定席”にたどり着いた。【柴田猛夫】

 [2009年4月12日8時21分

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