<巨人3-1中日>◇9日◇東京ドーム

 中日チェン・ウェイン投手(23)が悔しい2敗目を喫した。7安打しか許さず今季2度目の完投となったが、阿部、ラミレスに本塁打を浴びて3失点。巨人キラーとしての期待を背負ってのマウンドだったが、打線の援護に恵まれなかった。今季の巨人戦は3試合登板で計4被弾と好投しながら結果が出ない状態。中日は2連敗で借金3にふくらみ、3位から4位に転落した。

 結果は黒星でも、表情は普段と変わらなかった。8回を投げ3失点。キレのいい直球とスライダーでアウトを重ねた。前回3日の横浜戦では6回まで完全試合ペースで、最後は5安打の完封勝利。それに続く3勝目はならなかったが、バスに向かう足どりは重くはなかった。

 「今日は別に悪くはない。たまに抜けることはあったが、真ん中に入ってないし、前よりはよかった。(本塁打を打たれた球は)向こうのバッターがいいからしょうがない」。打線の援護がなかったが「自分も(2回のチャンスで)打てなかったですからね。先に点をとられたほうが悪い」と仲間をかばった。

 昨年3勝を挙げ、巨人キラーとして今季3度目となる巨人戦登板だった。だが、許した2本の本塁打が白星を遠ざけた。2回には阿部に外角低めのスライダーを右翼席に運ばれ、2点を先制されると、6回にはラミレスに内角低め、ボール球のスライダーを左中間スタンドにぶちこまれた。

 今季、打たれた4本塁打はいずれも巨人から。ラミレスには4月25日にも一発を浴びていた。一番得意な内角低めを仕留められ「次に対戦する時には気をつけたい」と、しっかりと記憶に焼き付けた。

 マスクを被った小山は「ラミレスに対しては、内角にストライクの直球を投げてはダメという打ち合わせがあった。ミスしてストライクに入ったら本塁打になるんで、それならスライダーの方がいいと思った。ほぼボール球だったと思うんですが…。あそこは配球ミス。外にいくべきだった」と悔しがった。

 だが投球の内容自体は決して悪くない。落合監督も、リードを許しながらも8回までチェンを続投させたことについて聞かれると「ほかに誰がいますか?

 誰がいる?」と答えた。選択肢はほかになかった。今季2敗目を喫したが、防御率はリーグ2位の1・60。チームは負けたが、まだまだ信頼は揺るがない。次回、巨人との対戦は交流戦後の7月。4度目の次こそ、宿敵から今季初星を奪ってみせる。【福岡吉央】

 [2009年5月10日11時37分

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