<阪神1-2広島>◇13日◇甲子園

 総力戦で虎に勝利!

 広島は延長10回に栗原健太内野手(27)が左翼越えの勝ち越し適時二塁打を放ち、接戦を制した。先発の斉藤悠葵投手(21)も意地を見せた。6回1失点の好投を披露。勝ち負けはつかなかったが、粘りの投球が光った。今季初登板だった4月8日には同じ舞台で、金本に2被弾するなど、3回6失点KOされていた。この日はリベンジを果たした。連敗を2で止めて、借金も2に戻った。

 二塁ベース上で主砲が両手を天に突き上げた。苦しく、もどかしい展開を打破したのは栗原のひと振りだった。延長10回2死一塁。阪神の守護神藤川のフォークを拾うと左翼金本の頭上を越えた。一走天谷も歓喜のホームイン。勝ち越し適時二塁打で引導を渡した。

 試合を作ったのは先発の斉藤だ。甲子園で味わった屈辱を晴らした。因縁の初回から冷静だった。2死一塁で金本を迎える。慎重に攻めて四球を与えてしまい一、二塁になった。それでも、新井を初球速球で投ゴロに詰まらせ、好発進だ。

 左腕も「立ち上がりが少し安定していなかったけれど、粘り強く投げられたと思います」と振り返る。1回は22球を要したが、2回以降は球威のある速球や切れ味鋭いスライダーなどのコンビネーションを生かして安定した投球を続けた。

 今季初陣だった4月8日には聖地で悪夢を見た。1回から金本に容赦なき3ランを許すと、3回にも再び右中間最深部に連続被弾。3回6失点する最悪のスタートだった。それでも課題を克服して、2つの白星を重ねて、虎と再戦した。深刻な貧打のなか、気持ちを切らさず、丁寧に投げる。5回までは阪神先発の久保と投げ合って、スコアボードに「0」を連ねた。

 先制を許したのは斉藤だった。6回1死。新井への初球の外角高めチェンジアップをとらえられ、右翼席に被弾してしまう。先制ソロ本塁打を浴び「前回の課題として各打者への入り方に気をつけていたが、ホームランはその初球が甘くなったところを打たれてしまった」と反省も忘れない。この日は6回1失点で降板した。勝ち負けはつかなかったが、仕事を果たした。

 延長10回裏はリリーフエースの永川が締めて、大野豊に並ぶ球団記録の通算138セーブ目をマーク。逃げ切ってチームの連敗も2で止めた。再び借金2に戻した。土俵際でカープが踏みとどまった。【酒井俊作】

 [2009年5月14日10時4分

 紙面から]ソーシャルブックマーク