<阪神4-0オリックス>◇5日◇甲子園

 主砲のバットが逆転勝利を呼び込んだ。打率2割4分台に低迷する広島栗原健太内野手(27)が6回、勝ち越しの2点エンタイトル二塁打を放った。直後の7回に降雨により4-1で試合は終了。中軸の不振が響き、連勝が7でストップし、打線組み替えで臨んだソフトバンクとの交流戦頂上決戦。4番が役割を果たしたコイが、逆転勝利を収めて再び勝率5割に復帰。新たな連勝街道を突き進む。

 猛攻劇だった。1点を追う6回だ。1死後、打席には代打の嶋。5月20日オリックス戦以来のベンチスタートのうっぷんを晴らす、左翼線二塁打で出塁。続く梵の右前適時打で同点になった。さらに東出がエンドランを決めて1死一、三塁とチャンスを広げた。赤松は空振り三振に終わるが、その間に東出が二盗に成功し2死二、三塁。そして4番栗原が打席に立った。

 ソフトバンク先発大場に捕邪飛、中飛に打ち取られて迎えた第3打席だ。打率2割4分台と不調の栗原は「状態が状態なだけに積極的に行く」と、甘く入った初球の高め143キロ速球を振り抜いた。打球は右中間で跳ねてスタンド入り。エンタイトル二塁打で2点を加点した。続く喜田も適時二塁打で、一挙4点を奪う猛攻で逆転した。

 指揮官の期待に応えた。連勝が7でストップした3日の日本ハム戦後、「中軸の調子が…」と嘆いたブラウン監督はこの日、5番に喜田、新人岩本を初の6番にするなど、打線をてこ入れした。4~6番を中軸ととらえる今季の赤ヘル打線で、中軸の入れ替えは5月23日ソフトバンク戦以来9試合ぶりだった。それでも“4番栗原”は不動だった。

 連勝街道を支えたのは投手陣の奮起によるもので、この日も新人小松が5回0/3を1失点と好投した。試合前まで打率2割2分6厘、156得点の12球団ワースト打線が爆発。ブラウン監督は「嶋の二塁打が勢いを呼び、梵、栗原がタイムリー」と打線の奮起に目を細めた。

 試合は7回裏の攻撃前に降雨により終了。1カ月ほど雨の少ない状態が続いた広島県内。今月に入り、深刻化する渇水がニュースで流れるほどだったが、逆転直後に理想のタイミングでの雨が降った。まさに幸運の雨。投打のかみ合ったカープが、運も味方に連勝街道に復帰する。【佐藤貴洋】

 [2009年6月6日11時58分

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