<広島3-1阪神>◇8日◇ハードオフ新潟

 新潟でも「祝砲男」が主役だ。広島栗原健太内野手(27)が8日、阪神戦が行われた新球場ハードオフ新潟の球場第1号本塁打を放った。1点を追う1回に杉山から左翼に11号2ラン。チームを3連勝に導いた。4月16日、新本拠地マツダスタジアムでのチーム1号を記録するなど、新球場の「初弾」を連発、真価を発揮した。投げては、コルビー・ルイス投手(29)が今季初完投で5勝目と投打の歯車がかみ合ってきた。

 夕闇迫るハードオフ新潟の曇り空に、初めて美しい弾道を描いた。栄えある新球場での第1号本塁打を放ったのは、やはりアーチスト栗原だ。1点を追う1回裏。2死三塁の場面で、阪神先発杉山の投げた真ん中フォークを見逃さない。乾いた音を残して、左翼席まで運んだ。今季11号の逆転2ランはメモリアル弾だ。

 「追い込まれていたけど、うまく反応できました。(記念弾は)たまたまでしょう。この球場でも第1号を打たせてもらいましたが、何か持ってるのかな?」

 試合中、コメントを求める球団広報にも、思わず笑顔を浮かべた。今季は4月7日阪神戦。リニューアルした甲子園で、阪神ナインに先駆けて1本目のアーチを記録。同16日の横浜戦でも、マツダスタジアムでのチーム1号を架けた。さらに、6月17日楽天戦でも広島・三次の新球場でプロ選手初アーチを放つなど「メモリアル弾ハンター」ぶりを発揮していた。

 4番として、大きな1発だった。この打席を迎えるまで、16打席無安打。「(状態が)悪くはなかった。たまたま結果が出てなかっただけ。気にしても仕方ない」。強気な姿勢は崩さないが、今季は状態が上向かず、なりふり構わず周囲に助言を求めたこともある。6月上旬には、WBCメンバーだった日本ハム稲葉と打撃フォームに関して話し込んだ。「下半身をしっかり使うということ。上(半身)との連動なんです」と栗原は振り返る。主砲として浮上するためにも必死にだった。

 チームは新潟での公式戦10連勝。栗原のホームラン球とサイン入りバットは「1号本塁打記念」としてハードオフ新潟の右翼下展示室に飾られる予定だ。北国の野球史に確かな足跡を残した。約1カ月ぶりの3連勝で、借金完済まであと1つ。栗原は言う。「自分の打撃を心掛けて、結果がついてくるにこしたことはない。いまはそれができれば」。復調を目指す長距離砲が必ずや、カープを上位へと押し上げる。【酒井俊作】

 [2009年7月9日11時55分

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