史上初の女性プロ野球選手として注目を集める「ナックル姫」こと吉田えり投手(17)が所属先の関西独立リーグ・神戸9クルーズを退団する可能性が30日、高くなった。中田良弘前監督(50)の解任から一夜明けたこの日、休養を表明して実家のある横浜市内に戻った。球団への不信感は深まり、このまま退団の流れとなるのは必至。BCリーグなど他の独立リーグ移籍や女子野球でのプレーも含め、今後の方向性を模索することになりそうだ。

 不可解な解任劇が、ナックル姫の去就問題に発展した。この日、JR新大阪駅で取材に応じた。「(監督の解任は)急だったんで、なかなか受け入れることができない。気持ちの整理もできない。ショックです」と涙こそ見せなかったが、戸惑いは隠せなかった。

 期間は未定ながら、休養はすでに村上真一監督代行(45)に伝えている。騒動の影響によるストレスからか、「29日から胃が痛くて…。精神的なことだと思う」と説明した。午前中は病院で診察を受け、体調不良を理由に午後からの三田市内でのチーム練習を欠席。そのまま新幹線で横浜市内へ向かった。

 球団サイドへの不信感も強いようだ。中田監督を慕って昨秋のドラフトで入団。選手の立場を十分に理解してくれる指揮官への信頼はいまも絶大。「監督さんがいての自分なので」とまで言った。それだけに突然の解任に納得がいかない。「(球団が)なんでそうしたのか分からない。他の選手もショックを受けている」と首をひねった。

 「いちばんの願いは監督さんが戻ってくること」としたが、経営優先でイベント活動を求める球団側と、選手の立場を尊重する中田監督との溝は修復不可能で、神戸復帰の可能性は限りなく低い。退団については「まだ分からない」と否定しなかった。

 今後は、この日神戸から正式就任が発表された村上監督代行と話し合い、そこで退団を申し出る可能性は高い。ただ「野球はしますよ」と明言。将来的に指導者を目指していることもあり、神戸を去っても現役続行する意向を示した。

 [2009年7月31日9時19分

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