<巨人2-5阪神>◇16日◇東京ドーム

 投げた瞬間に、失投と分かるボールだった。1点リードを追いつかれ、なおも2死一、二塁のピンチを迎えた3回。巨人の先発高橋尚成投手(34)の阪神ブラゼルに投げたシンカーは、ど真ん中に吸い込まれた。痛烈にはじき返された打球は右翼スタンド一直線。痛恨の決勝3ランとなってしまった。

 危険と背中合わせの勝負だった。ブラゼル攻略法は、内角球を打たせてファウルでカウントを稼ぎ、高めの釣り球で打ち取る。コントロールミスさえなければ“穴だらけ”の打者だが、甘い失投になればスタンドに運ばれてしまう。

 初回2死満塁では1球目と3球目に内角へシンカーを投げてファウル。最後は計算通りに高めの釣り球で三振に打ち取っていた。2回目の打席ではカウント0-1からで、1打席目より投げにくい状況ではあったが、制球力で勝負しなければいけないベテラン左腕に、投げミスは許されない。「あそこに投げた自分が悪い」と素直に反省した。

 同情の余地もあった。球審との“呼吸”が合わず、外角低めの直球をことごとくボールと判定され、イライラは募った。「判定の影響?

 それはなかった。審判がボールというならボールですから」と淡々と話したが、納得できない部分もある。6回裏1死一塁、亀井の打席で外角低めのスライダーがストライクの判定で「カメ(亀井)のがストライクなら、全部ストライクでしょう」と報道陣の質問に答えた。

 さらに3回の先頭打者のセカンドゴロを木村拓が後逸し、打者走者は二塁へ。「ミスをカバーしたかった」と振り返るが、前日の試合でも失策絡みで先発グライシンガーが6失点(自責0)。この日の高橋尚も自責点0で4失点だけに、2試合で先発投手が自責点0ながら10失点になってしまった。これで阪神に3カード連続の負け越しで、原監督は「次は対策を考え、しっかりと戦うということ」。1球の失投と1つの失策が、重い黒星を招いてしまった。【小島信行】

 [2009年8月17日8時28分

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