<ヤクルト5-7中日>◇28日◇神宮
中日落合博満監督(55)が、執念の采配でヤクルトを振り切り「巨人戦3連敗」のショックを振り払った。3点リードの9回に守護神岩瀬仁紀投手(34)を投入したが、1点返され、なお2死満塁となったところでセットアッパー浅尾拓也投手(24)にスイッチ。勝ち越される前の岩瀬にリリーフを送る「禁じ手」を使い、辛くも逃げ切った。これで首位巨人に4・5差と再接近。29日ヤクルトに勝ち、巨人が敗れれば、自力Vの可能性が復活する。
信じられない光景だった。9回裏に1点返されて2点差とされ、なお2死満塁の場面。守護神岩瀬が最後の打者を抑えようというところで、森バッテリーチーフコーチがベンチを出てマウンドに向かった。すでにこの回1度マウンドに歩いており、自動的に投手交代となる。やや遅れて落合監督が、友寄球審に「リリーフ浅尾」を告げた。浅尾は米野を二飛に打ち取って勝ちを収めたが、守護神交代の衝撃は三塁側ベンチに残ったままだった。
9回終了の試合で、岩瀬が勝ち越される前にリリーフを送るのは、本格的にストッパーに固定した05年以降初めてだ。今季も史上2位の20試合連続セーブを含むリーグトップの36セーブを挙げている絶対守護神。登板も48試合目と、鉄腕ぶりを見せつけていた。
落合監督は「野球ってこういうもんだ」とだけ話した。常々「野球には流れってもんがある」と話す。この日の岩瀬は2安打と2四球、1暴投とリズムに乗れなかった。前回8月22日横浜戦でも救援に失敗していた。もっと大きな流れもあった。チームは巨人に3連敗してVマジック点灯を許したばかり。絶対に負けられないこの日は、勝ちを拾える展開だった。神宮で勝てなかった朝倉に4年4カ月ぶりに白星をつけるチャンスでもあった。だから、自らに課していたルールを破った。そうまでしなければならない試合だった。
守護神の称号をはく奪された岩瀬は「(森コーチの)1回目のときは、点差と状況の確認だった。2度目で交代?
まあ、それはね…」と言葉少なだった。今季初セーブを挙げた浅尾は「本当に(投げるのか)?
という気持ちはありました。やってみて岩瀬さんのすごさがわかりました」と言葉を選んだ。勝利に沸く敵地神宮の三塁側ファウルグラウンド。引き揚げる選手たちの表情も、一様に厳しかった。
衝撃的な采配で、首位巨人とのゲーム差は4・5ゲームに縮まった。指揮官の明確な意志もチーム全体に伝わった。29日ヤクルトに勝ち、巨人が敗れれば、自力Vの可能性が復活する。竜は優勝をあきらめない。【村野
森】
[2009年8月29日11時9分
紙面から]ソーシャルブックマーク



