<日本ハム3-2オリックス>◇9月30日◇札幌ドーム

 初めて外野で弾んだ打球を見ても、日本ハム糸数敬作投手(24)の顔色は変わらなかった。7回2死、91球目の変化球を後藤に左中間に運ばれ、初安打を許した。「(ノーヒットノーランは)意識していませんでした。いつか打たれると思って投げていましたから」。大記録を目前で逃した悔しさよりも、自身初めての連勝で4勝目を手にしたうれしさの方が大きかった。

 「調子自体はよくなった」からこそ、慎重になった。変化球を低めに集めることを心がけ、5回阿部に四球を与えるまで3ボールになる場面すらなかった。安定した投球が打線のリズムを生んだ。

 ベンチでは先輩から愛のムチが入った。通常無安打投球で試合が進むと、チームメートにも硬さが出るが、稲田は大声で「おまえ意識してんじゃねーよ」。まさかの一言に絶句した糸数だったが「楽にさせようと思って言ってくれた言葉だと思う」。試合後には感謝して白い歯を見せた。

 ダルビッシュがコンディション不良で離脱。藤井、武田勝、八木ら残った先発投手陣に左腕が多い中で、糸数の存在感は光る。梨田監督も「だんだん成長してくれている」と目を細めた。【本間翼】

 [2009年10月1日10時30分

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