阪神赤星憲広外野手(33)が9日、日本シリーズ優勝の夢をチームメートに託した。けがによる現役引退の無念と現役への未練を赤裸々に口にした。チームに走塁革命を起こしたスピードスターは、プロ9年間の印象的な出来事として、4連敗でロッテに敗れた05年の日本シリーズを挙げた。プレーヤーとしてリベンジの道を断たれ、残された仲間に夢の実現を期待した。真弓明信監督(56)をはじめ金本、城島らは背番号53の引退を惜しんだ。

 情熱が消えていなくても受け入れるしかなかった。赤星は、現役に別れを告げる会見で赤裸々に胸のうちを語った。「完全燃焼できていない。まだできるという気持ちが強くて、けがさえなければと」と言った。

 もう飛べなかった。9月12日横浜戦で捕球を試みた際にダイブし首を負傷。「両足が動かなくて、倒れたままボールが投げ返されるのを見た。今まで気持ちで乗り越えてきた。今回のけがは気持ちでカバーできる部分じゃなかった」。ただ原因のプレーには「夢にも何度も出てきた。ただ野球人の本能でやったこと。後悔していない」とはっきり言った。

 もう改革者として先頭に立てない。新人だった01年から5年連続盗塁王。現役トップの通算381盗塁は球団歴代1位、プロ野球歴代9位。盗塁成功率は歴代3位の8割1分2厘を誇る。広い守備範囲と高い出塁率で2度のリーグ優勝に貢献。「僕に本塁打は打てない。皆にホームにかえしてもらう快感を感じていた」。スピード重視のスタイルがチームカラーのつなぐ野球を加速させた。就任2年目の野村監督の用兵術にもはまり、地位を確立した。「僕が入るまでそういうチームではなかった。いい意味で走塁改革できたと思う」と胸を張った。

 もう夢を追いかけられない。仲間には前日8日に電話で決断を伝えた。ほとんどが絶句し、驚き「もう1度話し合おう」と翻意さえ促した。ただ事前に遠回しに伝えた金本からは「そうか。そういうふうにしたんだな」と言われた。「05年の日本シリーズで(ロッテに)4連敗して完全な力負けをした。あの悔しさがあるからやってこれた。それをせずにやめるには悔いがある。日本一の夢を皆にたくすしかできない」。

 今も腕にしびれが残っている。この日の会見では「実感がわかない」と10回以上言った。「野球をやっている時はしたいことを考えなかった。野球以外のこともやってみたいし、機会があれば将来的に経験を生かして(指導者に)と思う。ただ今の状態では無理。体を治したい」。決断を下したレッドスターは静かに羽根を休める。

 [2009年12月10日11時24分

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