西武が2月1日の宮崎・南郷キャンプ初日から、ブルペンに自費で審判を招くことが22日、分かった。今年から日本プロ野球組織(NPB)の方針で各球団への審判の派遣が同10日以降とされ、それより早い派遣を望む球団は自費で招くこととなっていた。ドラフト1位の菊池雄星投手(18=花巻東)はかねて「キャンプでストライクゾーンの確認がしたい」と話しており、球団が身銭を切った格好だ。まさに“雄星シフト”がしかれるキャンプで、怪物左腕が開幕1軍を目指す。

 怪物左腕を育てるためなら、出費は惜しまない。西武が南郷のブルペンに“雄星シフト”をしいて、黄金ルーキーをバックアップする。西武以外では2月1日に紅白戦を行う予定の中日が自費で審判団を招くことがこの日、判明。西武の実戦練習は同11日のシート打撃から始まる予定だが、ブルペンでの投球練習のために派遣要請を出した。球団関係者は「前年同様、渡辺監督の意向。初日からブルペンに入る選手が多く、新人も4人行く。ストライクゾーンを覚えてもらうため」と説明した。

 金の卵に対する「先行投資」と見ることもできる。雄星は「キャンプではブルペンに審判も来るので、ストライクゾーンの確認をしたい」と、早い時期にプロのストライクゾーンを確認したい意向を持っていた。新人合同自主トレでは順調な調整を続けており、キャンプ初日からブルペンに入って、変化球も交えた本格的な投球練習を開始する見込みだ。その日に審判が不在では手探りの状態で投げざるを得なくなる。審判を呼ぶことでゾーンへの不安を軽減できるなら、決して高い投資ではない。黄金ルーキーにふさわしい「太っ腹育成」に球団の決意のほどがうかがえる。

 雄星はこの日、西武第2球場での合同自主トレでは新人で唯一ブルペンに入らなかった。前日21日まで異例となる3日連続で立ち投げを行っており「3連投は(自主トレでは)初めてで、いきなり4連投はきついので」とキャッチボールのみで調整。ブルペン入りこそしなかったが、頭のトレーニングは欠かさない。室内練習場では2年連続本塁打王を獲得した中村の打撃練習を観察しながら、対戦する際のイメージを膨らませていた。「同じチームで良かったと思いました。モノが違う。真っすぐを普通に投げたらもっていかれる。インコースを攻めないとダメだなとか考えてました」と振り返った。

 キャンプではシート打撃、紅白戦などで対戦する可能性がある。そこは怪物らしくキッパリと言い切った。「打たれるとは思うけど、胸を借りるつもりで真っすぐで勝負したい。開幕まで、真っすぐ中心で投げて課題を見つけたいので。そこからどうすれば真っすぐを打たれなくなるかを考えます」と真っ向勝負を宣言。小さくまとまるつもりなど、さらさらない。手厚いバックアップへの感謝の気持ちは、結果で示してみせる。【亀山泰宏】

 [2010年1月23日8時27分

 紙面から]ソーシャルブックマーク