<楽天11-2日本ハム>◇23日◇Kスタ宮城

 宮城野は冬の寒さでも、Kスタはアツいぜ!

 4月下旬というのに真冬を思わせる寒気をものともせず、楽天が大勝した。打線は今季ホーム最多の15安打、11点と爆発。投げてはダレル・ラズナー投手(29)が、チーム今季初完封こそ逃したが、日本ハム打線を6安打、2点に抑える完投勝利で10年初白星をマークした。24日以降は気温も上がる。最高の形でサタデー岩隈、サンデーマー君につなぎ、楽天も上昇、上昇。

 肌寒いKスタ宮城の夜空に、楽天草野大輔内野手(33)が、熱~い放物線を描いた。5回だ。無死一塁、カウント2-2。真ん中高めの直球をコンパクトに振り抜いた。軸のぶれない、草野本来の美しい腰の回転だった。打球は右翼スタンドまで伸びていった。プレーボールの午後6時では気温5・7度。前日からの細かい雨は降り続けた。悪環境にもかかわらず観戦に訪れた1万2206人のファンを喜ばせる3号2ランだった。

 2回先制も草野だった。無死一、二塁から右前へ先制打。日本ハムの守備にミスも出て(二塁手の本塁への悪送球)一気に2点を奪う一打となった。3回には1死満塁で打席が回る。ストレートの押し出し四球。労せずして2打点目をマークした。試合を決定付ける本塁打を放つ前に、すでにヒーローになっていた。

 2回の適時打には「つなごうという気持ちがなんとかヒットにしてくれました」と得意の宮崎弁は封印して控えめに話した。5回のアーチでは「いやぁ~、良かったねぇ~。やっと復調の兆しが見えてきたよ。打てる時にガッポリ打って貯金しないとね」。満面の笑みで宮崎弁も解禁だ。

 昨季の3割打者も、ここまで苦しみの連続だった。新生ブラウン楽天の船出では、フィリップスの加入もあって、草野の出場機会は激減。前日までの打率は2割1分9厘。規定打席には届いていない。焦りが打撃フォームにも顔を出した。ボールを迎えに前のめりなって、いわゆる手打ちになってしまう。3タテを食らった13日からの西武戦では、肥満体の報道陣の腹をたたいて「ノーパワーだよ…。パワーを下さい」と、うつむき「俺ってこんなに(打撃が)下手だったかな…」と悩んでいた。この日観戦に訪れた野村名誉監督をして「天才」と言わせたのは、美しい打撃フォームだからこそ。この日の本塁打に、草野も兆しを実感した。

 「皆さんの声援が後押しになります。まだ寒いですが、いっぱい着込んで応援に来て下さい!」。復活への手応えとなった4打点に、お立ち台で天才の笑顔がはじけた。【金子航】

 [2010年4月24日11時37分

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