<ヤクルト4-5阪神>◇29日◇神宮
さすがぜよ、球児さん!
絶体絶命の大ピンチで阪神藤川球児投手(29)が踏ん張った。1点差の9回裏、ヤクルトの先頭藤本が左翼へ放った打球を桜井がなんと後逸(記録は三塁打)。無死三塁のがけっぷちからが、虎の守護神の真骨頂だった。代打デントナら後続を3人でピシャリ!
最速153キロの剛球で逃げ切った。貯金は今季最多の4。さあ30日から甲子園での巨人3連戦、一気に首位浮上や!
ドキドキだ。打球が二塁後方にフラフラ上がる。歓声と悲鳴が入り交じる中、黄色いメガホンも水色の傘も動きを止めた。誰もがかたずをのんで、落下地点を見守った。二塁大和が土壇場でしゃがみ込み、右翼平野が飛球をキャッチ。球児はマウンド上で両手を広げて「セーフ」ポーズだ。駆け寄る城島と体を突き合わせて満面の笑み。最速153キロ以上の迫力で、ツバメ打線をねじ伏せた。
藤川
あれだったら、あきらめがつきますよね。攻めた上でのミスはしょうがない。打たれたのも(元阪神の)藤本さんだったし。逆境でどこまでできるか。本当は苦しいけど、逆に楽しんでやりました。
1点リードの9回に登板。直後、予期せぬプレーが起きた。ヤクルト先頭藤本の左翼前ライナーを、桜井がスライディングキャッチを試みて後逸(記録は三塁打)。無死三塁。絶体絶命のピンチで真骨頂を発揮した。代打川本をまず遊ゴロ。代打デントナには堂々と力勝負を挑んだ。6球すべてが高めにホップする「火の玉ストレート」。フルカウントから外角高め147キロで空振り三振を奪った。最後は2死三塁から田中にも3球連続で直球を投じ、右飛でゲームセット。最後は9球連続で直球勝負。後輩桜井の悔しさを背負い、虎の守護神が仁王立ちした。
その手首には、この日も何も巻かれていない。昨季までは投手陣が結束の証しとして、ゴム製のリストバンドを手首に巻いていた。ここ数年はジェフ・ウィリアムスが配るのが恒例となっており、09年バージョンにはラテン語で「FRATER
IN
TELUM(みんな兄弟、みんなで力を合わせて)」と刻まれていた。だが、長年ブルペンを支えた助っ人左腕は昨季限りで退団。今季、球児は正真正銘、虎投のリーダーとなり、バンドの力を借りずにまとめ役を担っている。4月上旬には、リストバンドについてこう説明した。
藤川
(去年のバンドは)今、家にあるんかな。みんなに(真の)まとまりができたら(新しいモノを)作ったりするんちゃうかな。もちろん、今も一致団結はしている。でも、いろいろ競争もあるしね。
長いシーズンを戦い抜く上で、これからもっときずなを深められるはず。この日も仲間への感謝を忘れなかった。「クボ(久保田)が6番(打者)まで切ってくれたから」。きずなを大切にした。
これで開幕から12試合で7セーブ目。依然、防御率は0・00だ。「今日で(連続無失点が)終わるかな、と思ったけど、もう1回チャレンジできる。毎回、必死にやるだけ」。首位巨人とは3ゲーム差。虎投を支えるこの男がいるから、Gの背中もそう遠くは感じない。
[2010年4月30日11時11分
紙面から]ソーシャルブックマーク



