<楽天2-1オリックス>◇1日◇Kスタ宮城

 

 恩人との約束が楽天岩隈久志投手(29)の4連勝を支えた。07年の秋に右ひじ手術を行った。担当医は喜寿を迎えた大ベテラン。確かな腕と患者に対する温かな視線で、多くの野球人を救ってきた。岩隈もこの名医に心身を委ね、復活を果たした経緯があった。

 先月上旬、医師が肺炎を患い入院した。年齢もあり病室で絶対安静となった。「野球中継しか楽しみがない。岩隈君が投げる試合はもちろん、全部見てるから。負けたりしたらもっと具合悪くなって、大変なことになっちゃうよ」。こんな言葉を送って「でも無理だけはダメだ。絶対」と、せき込みながら加えた。簡単でなかった手術。担当医が一番良く知っていた。

 気の優しい岩隈は「僕の体なんか心配している場合じゃありませんね…。頑張らなくては」。ユーモアあふれる励ましを意気に感じ、白星街道に入った。7メートルの強風に負けずオリックスを相手に8回を被安打4、1失点。この日も変わらぬ安定で、チームに本拠7連勝を運んだ。エースの連勝を良薬とし医師は無事退院。病床ではなく現場から、「無理せずに。球速はいい。岩隈君はコントロールとキレで抑えられるから」と、相変わらずのエールを送った。【宮下敬至】

 [2010年5月2日8時43分

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