<楽天3-2オリックス>◇2日◇Kスタ宮城

 楽天は初めて6番に座った嶋基弘捕手(25)が勝ち越し打を含む猛打賞と機能し、オリックスと並び4位に浮上した。「守っていても気分的に違う」とリード面での相乗効果も口にする嶋は打率3割4分7厘。12球団の捕手中、断然トップのヒットマンへと打撃開眼した背景には危機意識があった。

 「捕手はリードだけ、はダメだ」。ブラウン監督が就任早々示した方針がこたえた。プロ3年で通算2割1分1厘。自身に向けられた言葉だと悟った。「打てないと出してもらえません。打てるようになりたいんです」。相談した相手はヤクルト宮本だった。嶋の純な打ち明けを受け止める懐が宮本にはあった。3月、沖縄での練習試合。打撃練習を見る機会があった。「もう少しだけ、右の股(こ)関節に体重をしっかり乗せてからスイングしてみては」。この言葉をひたむきに守ると、ミートポイントが自分の手元に近づいてきた。

 1回、外角に沈む変化球にヘッドが返り、三塁線を突破した勝ち越し適時二塁打。6回、外寄り直球を中前打。8回、厳しい内角直球を右前打。頭がぶれず、軸を残したまま打つ、ビハインド・ザ・ボールで広角に打った3本。「インコースも、とにかくセンターに打ち返す意識」とのスタイルは宮本と同じで、「前日から少しグリップを下げた」フォームも、恩人とうり二つになっていた。3連勝、Kスタでは8連勝。ブラウン監督は「6番を任せることに迷いはなかった。2番だって打てる」。ボール同様、嶋が正捕手の信頼もガッチリとらえた。【宮下敬至】

 [2010年5月3日9時27分

 紙面から]ソーシャルブックマーク