<阪神10-6広島>◇7日◇甲子園

 ハラハラドキドキの試合を決めたのは阪神マット・マートン外野手(28)だった。6-6で迎えた8回1死満塁、カウント2-2から見逃せばボールの外角高め141キロ直球を強引に振り抜くと、白球はバックスクリーンに消えた。自宅を出る際、妻ステファニーさんに「ホームランを打ってきてね」と言われたという元大リーガーは「今日は奥さんの(26歳の)誕生日。ハッピーバースデー!」。勝利を決めたプロ初の満塁本塁打に、初めて立った甲子園のお立ち台で興奮気味にまくし立てた。

 マートンの1発が飛びだす約3時間前、阪神は城島の今季2本目の満塁弾で先制した。「芯でしたよ。手応えは十分」と気を良くした正捕手は、1死三塁の3回には二ゴロを放って5点差。「本当はぼくが取った5点のリードをまもらなきゃいけない」(城島)展開だったが、先発フォッサムは5回途中まで4失点、8回に登板した4番手の久保田が2失点で逆転された。

 そんな嫌なムードを振り払ったのは、城島の加入で代打に回る41歳の矢野だった。1点を追う8回1死満塁で代打として登場。初球のチェンジアップに体勢を崩されながらも、三遊間を破る同点打。今季初打点で今季初めてのお立ち台で「あまりに久しぶりだったのでジャンプしたかったが、こらえた。明日からも必死のパッチで頑張ります」と、うれしそうに叫んだ。

 今季13度目の逆転勝ちで、首位巨人には1・5ゲーム差。劇的な勝利にも、真弓監督は「打ち勝つのはいいが、投手を含めた守りをしっかりしていかないと。1チームだけ走らせるわけにはいかない」と気を引き締めた。

 [2010年5月8日8時13分

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