<ウエスタン:広島1-6阪神>◇20日◇マツダ

 右肩痛のためリハビリ組の“3軍”で調整していた広島大竹寛投手(27)が3カ月ぶりに実戦復帰した。先発して2回を投げ2失点だったが、最速148キロを記録するなど手応えをつかんだ。慎重に調整しながら、交流戦明け、6月中旬までの1軍復帰を目指す。エースの復帰で、広島の反撃態勢が整う。

 2イニングを投げ終えた大竹の表情は明るかった。ストレートは高めに抜け、変化球はひっかかって低めに外れた。2回2死満塁から、連続四球を与え押し出しで2失点。それでも最速は148キロをマークした。「打者相手で力が入ってしまいました。力んで球がうわずったけど、思ったより腕が振れたし、今日投げられてほっとしました」と笑顔を見せた。

 昨季10勝を挙げ、今季もエースとして期待されたが、2月23日の紅白戦(日南)登板後、右肩の強い張りのためオープン戦も投げられなかった。3軍でリハビリに努めてきた。ブルペンでの投球練習を重ね、打撃投手としても2度、マウンドに立った。1軍の先発投手陣が苦しむ中、戦力になれない責任を痛感しながら、実戦登板の機会を待った。この日の51球が、1軍復帰の手がかりになる。

 野村監督は、大竹実戦登板の朗報をソフトバンク戦に備えた博多で聞き「マウンドに上がっただけで前進だね。それだけで一安心。段階を踏んでメドを立てられればいい」とエースの復調に期待を寄せた。

 今後は、打者相手に投げた翌日の肩の張りを確認し、問題なければ次回の2軍戦登板を目指す。強く投げた後の肩の状態がどうか、不安はあるが、大竹の目には1軍復帰の道がしっかりと見えている。

 博多への移動途中にマツダスタジアムに立ち寄って視察した大野ヘッド兼投手コーチも「投げられたことが大事。次の登板で70~80球投げられればいい。次の登板で見極めをしたい」と1軍復帰への青写真を描く。同ヘッドは、交流戦が終わり日程がタイトになる6月半ばまでに、先発投手陣を整備したい意向を持っている。中でも大竹の復帰は、反撃に必要不可欠だ。大竹も「6月中旬までにとは思っている。早く復帰してチームに貢献したい」と意欲を見せた。エースの復帰が、反撃ののろしとなる。【高垣誠】

 [2010年5月21日10時55分

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