<ソフトバンク6-5中日>◇30日◇福岡ヤフードーム

 ムネリンが決めた!

 ソフトバンク川崎宗則内野手(28)が、中日戦で劇的なサヨナラ打を放った。5-5の延長11回裏2死三塁で、中日5番手の平井から左前適時打を放った。今季2度目のサヨナラ勝ちで交流戦の貯金を1としたチームは、交流戦3連覇へ向けチャージをかける。

 決めたのは、やはりこの男だった。延長11回裏2死三塁。7回表から両軍無得点の息詰まる展開の中でも、川崎は勝利しか信じていない。「ここで決めなきゃ男じゃない」。中日平井が投じた3球目。146キロの外角球を、左前へきれいにはじき返した。一塁ベースを回ると、ベンチから飛び出してきた仲間に手荒い祝福を受けた。「グラウンドですっぽんぽんにされるんじゃないかと思った」と愛らしい笑顔がはじけた。

 あきらめるわけにはいかなかった。この日は先発大隣が序盤からリードを許す苦しい展開。2回裏に追いついた後にも、再び2点リードを許した。それでも「とにかく僕らはあきらめずにやっている」。6回2死二、三塁の第4打席。詰まりながら中前へポトリと落とす同点2点適時打を放った。「気合で打ちました」。口蹄(こうてい)疫で苦しむキャンプ地・宮崎を勇気づける「がんばろう宮崎デー」ということもあり、負けられなかった。

 弟分のためにも、打たなければならなかった。プロ4年目の福田が、延長11回無死一塁で送りバントを決め、つないでくれた。「ポスト川崎」と期待され、07年に入団。本職は遊撃で、08、09年に自主トレに帯同させた若手だ。4月12日の中日戦(ナゴヤドーム)では、6回表のプロ初打席で三振に倒れた福田に「かたきを取ってきてやる」と声をかけた。直後の打席で右越え本塁打を放った。国内FAを取得した27日には「メジャー挑戦」の希望を公表しているが、後継者にまたも手本を示した。

 秋山監督も「よう打ったね。大きいね、分けると勝つでは違う。負け試合だったからな」と絶賛した。2度追いついた打線と、最後の好機をものにした川崎を褒めちぎった。交流戦13戦目で初めて貯金1となった。川崎がいる限り、最後まで交流戦3連覇は、あきらめない。

 [2010年5月31日11時16分

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