<広島10-21オリックス>◇7日◇福山

 オリックスがプロ野球新記録を打ち立てた。8-7の6回1死一塁。坂口智隆外野手(25)の内野安打を起点に日本記録の10者連続安打の猛攻で一挙8点を奪った。21得点、交流戦新記録となる25安打で広島に圧勝。4月28日以来の勝率5割に復帰し、交流戦首位タイに立った。驚くべきことに、ロッテもヤクルト戦で同日10者連続安打をマーク。さらに日本ハムも13得点を取って3チームが2ケタ得点を記録し、パ6球団で55得点(セ22得点)と打ちまくった。

 打ち出の小づちを握った岡田彰布監督(52)監督も驚きで笑えなくなった。「地方球場は何が起こるか分からん」。鯉党が「ちゃんと野球やれ」とヤジを飛ばし、オリ党がバンザイを連発する。雨上がりの福山市民球場で始まった「ヒット祭」。スコアボードで数字が踊り、歴史的な記録が打ち立てられた。

 6回1死一塁。坂口が地面に強くたたきつけた二塁内野安打が号砲だった。ここから4連打、さらに北川の3ランで走者を一掃した。日高の安打で広島は3番手高橋から4番手林にスイッチしたが、快音は鳴りやまない。大引で9打数連続安打の球団記録に並ぶと、このイニング2度目の打席に入った坂口が左前打を放った。神宮球場でロッテが達成した直後、オリックスもプロ野球記録となる10者連続安打をやりとげ、一挙8点を奪った。

 その後も小づちが壊れんばかりに、打つわ打つわ。先発野手全員が安打、打点、得点をマーク。21得点、25安打、5本塁打はいずれも今季最多だった。坂口は自身初の5安打の暴れっぷり。「いい場面で後ろにつなげた。打ちすぎることはないし、打てる時に打ちたいですから」。交流戦打率4割4分3厘の首位打者が好調オリックス打線のシンボルだった。

 主砲カブレラにラロッカ、バルディリスと助っ人たちが負傷離脱。国産打線で戦いながら、交流戦12球団トップの3割3厘、125得点を誇る。「つなぐという気持ちやろうけど、調子がいい打者が増えてるんやろう」。岡田監督も上昇カーブを描くチームに手応えを深めていた。

 昨年のヤクルト戦で11打数連続安打をやられたのは昔話だ。3連勝で交流戦首位タイに浮上。何よりも4月28日以来、40日ぶりとなる勝率5割に復帰した。岡田監督が「公約」にしていた交流戦期間での完済を、記録にも記憶にも残る猛攻で実現した。【押谷謙爾】

 [2010年6月8日11時14分

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