井端の代役に新戦力が名乗りを上げた。中日堂上直倫内野手(21)が14日、ナゴヤ球場で全体練習後、8人のコーチ陣の見守る中、始めたばかりの二塁守備とフリー打撃をチェックされ、1軍昇格テストに合格した。1人の選手をコーチ陣総出でチェックするのは極めて異例。15日からの1軍練習で最終チェックを受けて、出場選手登録される見込み。06年の高校生ドラフト1巡目で入団し、伸び悩んできた大器が、大きなチャンスを迎えた。

 異様な光景だった。午後4時過ぎ、ファームの練習が終わり、静まり帰ったナゴヤ球場の室内練習場に、札幌から戻ったばかりの森ヘッドコーチら1軍コーチ陣がズラリと勢ぞろいした。その視線の先には、二塁挑戦中の堂上直。井端の離脱した穴を埋める新たな戦力として1軍で使えるのか、テストしていた。

 石嶺、高柳両打撃コーチが見守る中、10分間のフリー打撃を終えた堂上直は、二塁の守備位置に就くと、約30分間、奈良原内野守備走塁コーチのノックをさばき、渡辺内野守備走塁コーチ、早川野手コーチを相手に送球や連係プレーの動きを披露。住田コンディショニングコーチも見守っていた。スーツ姿で練習を見守った辻総合コーチは「もともと器用な子で守備はうまい。どのレベルまで求めるかにもよるけど、それ(二塁での起用)もある」と、合格点をつけた。

 これまで三塁や遊撃を守っていた堂上直は、足を痛めた井端が登録を抹消された11日から、ファームの試合に3日続けて二塁手として出場してきた。打撃も現在8試合連続安打中と絶好調。二塁を守るのは中2以来というが「これだけのコーチが見にきてくれたのはうれしい。今できることを全部見せられたと思います」と話した。入団以来、将来のレギュラー候補と言われ続けてきたが潜在能力を発揮できず、今季も2軍暮らしが続いていた。

 15日には1軍の練習に参加する。最終チェックを通過すれば、今季初の1軍昇格は確実だ。井端離脱後は岩崎達、谷が代役を務めてきたが、打撃で結果が残せておらず、堂上直が代役候補に躍り出る。【福岡吉央】

 [2010年6月15日11時17分

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