<ソフトバンク2-1ロッテ>◇29日◇福岡ヤフードーム

 絶妙の采配だった。ソフトバンク秋山幸二監督(48)が、またロッテ打線を翻弄(ほんろう)して同率首位対決を制した。6回無死二塁。右の井口、金泰均と続くところで先発大隣をあきらめ、やはり左腕の森福をマウンドに送った。ピンチで森福が井口、金泰均を抑えてプロ初勝利を挙げた2日前に続くサプライズ起用だった。

 森福は井口に右前安打され、無死一、三塁とされたが、そこから金泰均を高め直球で空振り三振、5番福浦は外角スライダーで空振り三振。最後は今江を外角シュートで二ゴロに抑えた。クルリと打者に背中を向ける幻惑投法が、またもさえ渡った。秋山監督は「大隣が試合をつくってくれたし、森福が今日もしびれるところで、本当に応えてくれた」と賛辞を送った。

 先発大隣の女房役に28日まで2試合欠場した山崎を指名した作戦も的中した。大隣&山崎のバッテリーは4月11日から6月6日にかけ、先発で7度コンビを組んだが、その間1勝もできなかった。その後大隣は、山崎離脱期間の7月16日に勝利。捕手を山崎に託したことを、秋山監督は「しばらく結果出ていないからな」と説明した。リベンジの舞台を与え、大隣の復活勝利を引き出してみせた。

 ペナントレースも佳境に入り、秋山監督の期待に選手も応えている。同点打を放った小久保は「こういう時に森福のようなヒーローが出てくるのはプンプンにおう」。03年の優勝を知るベテランは、7年ぶりの歓喜の予兆を感じ取っている。

 [2010年8月30日9時13分

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