<中日3-2巨人>◇3日◇ナゴヤドーム

 中日吉見一起投手(25)が巨人打線を5回1/3、3安打1失点に抑え、ハーラートップタイの12勝目を挙げた。前回登板で打ち込まれた強力打線を、坂本の28号ソロによる1点に封じた。チームの同球場での巨人戦連勝は7に伸び、06年以来4年ぶりの同カードシーズン勝ち越しも決まった。これで、8月19日以来の2位に浮上。首位阪神とのゲーム差は1・5に縮めた。

 エース吉見の意地だった。逆転Vをつかむためには、絶対に落とせない巨人との直接対決初戦。「今日はCSの初戦、負けたら終わりだという気持ちでいきました」。けっして調子はよくなかったが、ていねいに低めに集め5回までわずか2安打。6回1死から坂本に左越えソロを浴び、76球で降板したが、内海との投げ合いに耐え、巨人戦今季5勝目をつかんだ。

 「長いイニングを投げたかったんですが。失投も多かったし、あまり良くなかった。今日はチームに迷惑を掛けました」。

 8月26日の巨人戦で球団ワーストとなる5被弾を食らい、2回7失点でKOされた。それでもローテーションを変更してまで、中7日で巨人戦に起用された。何が何でもやり返したかった。2度ブルペン入りするなど、調整法を変え、雪辱に燃えていた。

 実は前回の巨人戦では、登板前にスパイクのひもが切れ、そのままマウンドに上がっていた。黒星を喫した開幕戦以来、2度目のハプニング。「降板した後に替えたんですけど、やっぱり何かあるんですかね…」。この日は試合前にひもの状態をチェック。試合中にも緩んだひもを結び直すなど、足もとにも神経を集中させ、白星をもぎ取った。

 巨人戦でKOされた翌日から3日間、横浜戦で連日ベンチ入りし、元気なベテラン勢の姿を見て我に返った。「谷繁さんや和田さんがあんなに声を出しているなんて知らなかった。ベテランがあれだけやってチームを引っ張ってくれているのを見て、もっと下がやらないといけないと思った」。エースとしてチームを引っ張るという思いを再確認し、巨人打線にぶつけた。

 これでハーラートップタイの12勝目。だが吉見は「最多勝をとっても優勝しなきゃ意味がないんで」と、残り20試合もフル回転する決意だ。次回は中5日で阪神戦での登板が濃厚。逆転Vをつかむため、1戦必勝の思いでマウンドに立つ。【福岡吉央】

 [2010年9月4日11時45分

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