逆転優勝を狙う阪神が、能見篤史投手(31)のフル回転で活路を開く。18日から巨人(甲子園)、中日(ナゴヤドーム)と6連戦。初戦先発予定の能見は、さらに中4日で23日の敵地中日戦に先発。GDをなで切りにして、望みをつなぐ。首位と2・5ゲーム差。もう1敗もできない状況で、右足甲骨折から復活した左腕が救世主になる。

 決戦の舞台は青空に見守られ、不気味なほどに落ち着いていた。観客席には報道陣のみ。指名練習に参加した先発陣5人のキャッチボール音が静かに響く。死闘を翌日に控え、甲子園はつかの間の休息を取った。

 10年シーズンも最終コーナー。首位中日に2・5ゲーム差、3位巨人とはゲーム差なし。三つどもえの戦いがクライマックスを迎える。18日巨人戦を皮切りに、巨人3連戦(甲子園)→中日3連戦(ナゴヤドーム)。その初戦、満を持して先発マウンドに上がるのが能見だ。負けられない戦い。その重みは誰もが知っている。「そうですね。やることは変わらないので」。表情を緩めることなく、足早にクラブハウスへ引き揚げた。

 右足甲骨折のリハビリを終えて復帰3戦目。昨季から巨人戦5連勝中のGキラーにかかる期待は大きい。復帰戦となった9日中日戦は7回2失点。登板間隔の開きを埋めるため15日横浜戦では中継ぎ登板し、1回を3人で仕留めた。チームが勝つためなら、どんな不規則な登板もいとわない。この日は甲子園の指名練習に参加し、ダッシュ、キャッチボールなどで調整。万全の準備を整え、中2日でのGぎり&復活星に挑戦する。

 戻ってきた左腕の大役はこれだけにとどまらない。18日巨人戦に先発後、状態に問題がなければ中4日で23日中日戦での先発が濃厚だ。昨季からの対戦成績は3戦で無傷の2勝、防御率2・25。今季も9月9日の甲子園で、勝ち負けこそつかなかったが、7回2失点に抑えている。チームは敵地ナゴヤドームで今季1勝8敗と苦戦しており、能見の肩にかかる期待は大きい。首脳陣はGにもDにも強い男を勝負どころでフル回転させる考えだ。

 もう1敗もできない。逆転優勝のためには、目の前の試合を勝っていくしかない。生き残るか、ここで終わるか。今季最も過なマウンドに、GDキラー能見が向かう。

 [2010年9月18日10時47分

 紙面から]ソーシャルブックマーク