大逆転優勝へ、いよいよ負けられない6連戦が始まる。決戦前の全体練習。マット・マートン外野手(28)はいつも以上に気合を込め、無観客の甲子園に快音を奏でた。報道陣には「巨人の先発投手は誰だい?」と逆質問。この男が相手投手に神経をとがらせるのも珍しいが、それだけ気持ちも高ぶっていたのだろう。「初戦の予想は内海」と聞くとうなずき、不敵に笑った。2発を含み3割8分5厘の5打点の好相性。G倒のイメージは整った。

 マートン

 9試合でマジック8かい。どの試合も大事になってくる。中でも巨人戦は特に重みがあるね。

 単なる伝統の一戦ではない。マートンは今回の対戦をこれまで以上に特別視していた。負けた方が優勝争いから脱落するサバイバル。もちろん狙うは引導を渡す2連勝だ。だが虎の現実主義者は、周囲の奇跡フィーバーをよそに、“万が一”にも頭を回していた。

 マートン

 仮に優勝が無理でもCSは甲子園で戦わないといけない。2位と3位ではホームで試合ができるか、大きな違いだ。優勝が無理でもできる限り高い位置にいきたいからね。

 V逸の想定はしたくないが、夢を追い過ぎては危機管理がおろそかになる。最悪でも2位は死守する。初のCS甲子園開催を実現させる。そのためにもここで巨人を連倒し、戦意を削ぐ意味は大きい。しかも巨人とは、CSで再び相まみえる可能性がある。今季勝ち越しも決め、イヤなイメージを植え付けることは重要な要素。「もちろんゴールは日本一だ」と信念にブレはないが、それだけ重い試合と位置づけていた。

 マートン

 この先、何が起こるか分からない。全力を尽くせば結果はついてくる。ロッキーズもやったでしょう?

 不可能はない。

 07年、ロ軍が残り試合を13勝1敗で進撃した好例を持ち出した。結果逆転でワイルドカードに滑り込み、リーグも制覇してワールドシリーズまで進出した。虎にも可能な球史に残る大逆転V。まずは巨人を倒して勢いに乗る。

 [2010年9月28日11時41分

 紙面から]ソーシャルブックマーク