<阪神5-7巨人>◇28日◇甲子園

 深いため息が超満員の甲子園を包んだ。真弓阪神が、がけっぷちに立たされた。後がなくなった。今季60敗目の意味は誰もが知っていた。「追い上げた?

 う~ん、立ち上がりやね。内海に適時打?

 やらなくてもというか、何とか抑えられるところは抑えて少なくしておかないと追いつくのは大変。明日?

 ずっと状況は一緒だ」と多くを語ることはなかった。口調を荒らげることはなかったが、3つだけ質問に答えて、すぐにロッカールームに引き揚げた。

 スタンリッジの乱調がすべてだった。1回1死から3連打で先制を許す。2死満塁から1軍復帰したばかりの長野に左前適時打。続く古城に押し出し死球を与えると、マウンドで両手をひざに置いてうなだれる。3回は2死から2四球などで満塁。投手の内海に2点適時打を浴びるなど、3回6安打4四死球5失点で試合をぶち壊した。

 攻撃の布陣は「背水」の一手だった。1軍に昇格したばかりの桜井を「7番左翼」で起用。金本をベンチスタートにさせてまで、勝負に出た。桜井が巨人戦に強いというデータ。金本の右肩の状態や左腕内海ということなど総合的に考えての判断だった。桜井が7回に1発を放つも、序盤の失点が痛すぎた。

 巨人戦の今季勝ち越しがなくなった。29日の同カードを落とせば、自力優勝の可能性は消滅するまで追い詰められた。チームは今季5連勝が最高。8連勝は、まさに「奇跡」。逆転優勝は限りなく厳しくなった。

 [2010年9月29日8時36分

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