<横浜0-4ヤクルト>◇28日◇横浜

 危なげなかった。ヤクルト石川雅規投手(30)が3年ぶりの無四球完封勝利で、自己最多タイの13勝目を挙げた。散発3安打、7回までは毎回の7奪三振。9回に2死三塁と失点のピンチを迎えたが「最後は勝たないと。ヒットでつながれるのは嫌なので、ホームランでもしょうがない」と開き直り、内川をシンカーで投ゴロに打ち取りゲームセット。108球の省エネ投球で横浜打線を手玉に取った。

 「点を取られても打線が点を取ってくれるので、何とかゲームをつくろうと思った」。エースの投げた試合は、6月26日阪神戦から14勝1分けと、3カ月も無敗が続いている。自身の連勝記録も球団記録を更新する11。1回には先頭の石川を見逃し三振に仕留めた時点で、プロ野球史上163人目の通算1500投球回も達成した。

 故郷への愛も好調を後押しする。プロバスケットbjリーグに、地元秋田のチーム「秋田ノーザンハピネッツ」の参入が決定。10月16日に秋田で開幕戦が行われ、シーズン中はイベント出演も検討されている。今春キャンプ中は沖縄のチームの試合も観戦。なじみのなかった競技に興味を抱き、北東北初のプロスポーツチームの応援が今オフの楽しみとなっている。

 最多勝のタイトルも見えてきたが、チームのことしか頭にない。「(CS進出が)今日決まったなら喜べるけど、次があるので。可能性がある限り、あきらめない」。奇跡を信じ、残りシーズンに全力を注ぐ。【由本裕貴】

 [2010年9月29日10時43分

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