あるぞ、CS秘密兵器!!

 ソフトバンクの高卒ルーキー右腕、下沖勇樹投手(19)がフェニックス・リーグ(5日開幕、宮崎)で中継ぎ要員として1軍に“抜てき”されることが分かった。来週末以降、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(14日開幕)に向けて1軍の調整試合を2試合予定しているが、下沖は2軍メンバーで唯一、登板機会を与えられ首脳陣のチェックを受ける。結果を残せばCSの大抜てきの可能性もあり、ドラフト3位ルーキーに注目が集まる。

 思わぬチャンスが到来した。CSファイナルステージに向け、フェニックスリーグでの1軍調整試合は、最後のメンバー選考の意味合いを兼ねている。そこで高卒ルーキー下沖だけが「御前登板」を果たすことになった。知らせを聞いた下沖は「本当ですか?

 残れるのはうれしいです」と素直に喜んだ。

 秋山監督が「将来は先発で考えている」と期待する有望株。ウエスタン・リーグでは中継ぎと先発をともに経験し、11試合24回2/3を投げ2勝1敗1セーブ、防御率5・84の成績を残した。今季は1軍のベンチ入りも経験。6月10日、初の1軍登録。登板機会がないまま16日に抹消されたが、経験が大きな刺激になっている。「体もできているし今のチームの中で一番やれる投手の1人。来季へ向けて戦力としてアピールしてほしい」と、斉藤2軍投手コーチも期待感をあらわにした。

 もちろん摂津ら層の厚い中継ぎ陣の中に食い込むのは簡単ではない。現状では首脳陣が成長度をチェックするとともに、本人に経験を積ませる目的が大きい。だが、最速148キロの直球と、スライダーなど多彩な変化球は近い将来の先発候補との呼び声高い。本人も持ち前の度胸で「制球を意識して投げたい」と気後れすることはない。首脳陣を驚かせるような投球ができれば来季どころか、CS登録への道も開ける。

 まずは「SBM」をはじめとする日本一の中継ぎ陣の中で、すべてを吸収する意欲を見せる。「全員を見たいです。投球も見たいけど、投球までの準備を勉強したい」。昨春のセンバツにともに出場した阪神のルーキー秋山はすでに4勝をマークした。下沖は同世代のライバルに負けないような強烈アピールを目指す。【前田泰子】

 [2010年10月1日11時2分

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