<ロッテ5-4オリックス>◇1日◇千葉マリン

 ロッテが最終戦で3年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。勝つか引き分けで進出が決まるオリックス戦は、1回に2点を先制されたが、その裏に今江敏晃内野手(27)の10号2ランで逆転。先発成瀬善久投手(24)は7回途中3失点と踏ん張り、逃げ切った。西村徳文監督(50)は就任1年目で日本シリーズ進出のチャンスをつかんだ。西武とのCSファーストステージは9日から始まる。

 球場が大歓声に包まれた。1回、1点を返してなお2死一塁。5番今江の打球は幕張の夜空に舞い上がり、打った瞬間に右手を突き上げた。4回には1死一、二塁から大松の中前適時打で、二塁走者の今岡がヘッドスライディングで生還し、両手でガッツポーズ。選手全員が気持ちを前面に出して勝利をもぎとった。試合後の興奮の中でも、西村監督は「選手、コーチ、スタッフ全員の力です」と、高ぶる気持ちを抑え、ほっとした表情を浮かべた。

 スローガン「和」が結集した。「誰かが駄目な時は他がカバーする」野球をシーズン通して貫いた。最終回が象徴的だった。勝利が近づいた2点リードの9回、マウンドに上がったのは小林宏ではなく伊藤だった。ここ数試合で不安定だった守護神を144試合目にして「使わない」判断を下した。本人には前もって伝えたが、苦渋の決断だった。あくまで勝ちにこだわった証拠だった。小林宏も「誰が9回投げるかにこだわりはない。チームが勝てばいいと思っている」と監督の意図を理解した。代わりの伊藤は1点を失ったものの、今季初セーブを挙げ「カバー」してみせた。

 41年ぶりの3カード連続勝ち越しを決め、開幕ダッシュに成功したが、ケガ人が相次ぎ失速。若手の台頭で穴を埋め、投手陣もトレード移籍の吉見、新外国人のペンでしのいだ。月に1度の3者会談で選手、監督、フロントの風通しもよくなった。ファンも一丸となった。この日は約3万人の観衆。右翼席は白のユニホームで埋め尽くされた。スタンドからも「素晴らしいスローガンを作ってくれてファンもきずなが深まった」と“和”に感謝。声援の後押しも力となった。

 まだ終わりではない。CS突破、その先には5年ぶりの日本一がある。9日からは2位西武と敵地で激突。西村監督は「西武、ソフトバンクを必ず倒して、日本シリーズでこの球場に戻ってきたい」と誓った。ロッテの本当の戦いはこれからだ。【斎藤庸裕】

 [2010年10月2日8時47分

 紙面から]ソーシャルブックマーク