城島2世だ。プロ野球ドラフト会議は28日、都内ホテルで行われ、ソフトバンクは1位で高校生ナンバーワン捕手、習志野の山下斐紹(あやつぐ=3年)を指名した。早大・斎藤佑樹投手を1位指名も4球団競合の末、抽選で外したが、走攻守に高い素質を持つ逸材の交渉権を獲得。球団側は20年現役プランを掲げ“金の卵”をじっくり育成する方針。山下は「将来は大先輩の城島(健司)さんのように世界を目指したい」と豪語し、ホークスの正妻として規格外の活躍を誓った。

 吉報は高校の室内練習場でトレーニング中に届けられた。拓二さん(44)真弓さん(49)の両親と兄貴将さん(22)が隣の合宿所でテレビ中継を見守り、ソフトバンクからの1位指名を知った。山下は「高校生なのに1位なんて、信じられない。ここまで育ててくれた監督や仲間、両親に感謝したい」と超えを震わせ、両親から「おめでとう」と肩を抱かれ思わず涙ぐむ場面もあった。

 習志野2年時、センバツに出場し、2試合2安打3四球の打撃と強肩のリードでスカウトの注目を浴びた。実際、遠投は115メートル。二塁送球のスピードも1・79秒とプロのレギュラー捕手に近い。50メートル走5秒9の強い脚力でフットワークは抜群。小林徹監督は「従来のタイプではない現代的なキャッチャー」と評す。高校通算35本塁打の強打と併せ3年時は高校ナンバーワン捕手の評価を受けた。

 実はソフトバンクについての情報はほとんどない。王貞治会長や秋山幸二監督は雲の上の存在。ただ1つ「良い投手がそろっている」との印象が強い。だから「すぐにでも和田さん、杉内さんの球を受けてみたい。1日でも早く1軍入りして、打撃とリードで投手を助けたい」と語気を強めた。

 もちろん、プロの世界はそんなに甘くはないことも知っている。「捕手ですからやらなければいけないこと、覚えなくてはいけないことがいっぱいある。時間はかかると思う」と山下。まずは5年以内のレギュラー取りを目標に据えた。さらに、その先にはでっかい夢もある。将来の大リーグ入りだ。「最終的にはメジャーで活躍するような選手になりたい。肩が売り物の捕手として世界にはばたきたい」。目指す道は、ソフトバンクからメジャー入りした城島と同じ。ホークスの次代を背負う男になる。

 [2010年10月29日11時41分

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