熱パの11年が幕を開けた。昨年はロッテのリーグ3位からの下克上日本一でパ・リーグの強さと勢いを印象づけたが、今年は優勝、日本一監督が全6チームに勢ぞろいし、さらに熱い戦いが展開されそうだ。戦国リーグの中でも、最も注目されるのが、8年ぶりに現場復帰する闘将が率いる楽天だ。星野仙一監督(63)は12月31日、新年の目標として「年間80勝でリーグ優勝」を掲げた。昨秋の就任会見で「東北を熱くする」と宣言した通り、貪欲に白星を重ね、球団創設7年目で悲願の初Vを目指す。

 目標はただ1つ。てっぺんだ。オーストラリアで静養中の星野監督だが、頭の中は楽天のことであふれている。「野球のことを考えるのは本当に楽しいよ」と心底、うれしそうに話した。昨季は借金17の最下位でも、いや、最下位だからこそ「優勝を目指す」と力強く宣言した。理由は明確だ。「Aクラスを目指す、じゃ、結局Bクラスになってしまう」。中日、阪神で計13年。現役監督トップの通算919勝。数々の修羅場をくぐり抜けた指揮官の言葉には、有無を言わさぬ説得力がある。

 「80」という数には根拠がある。監督として、常に背負う番号が「77」。「オレは、何でも77を目標にやってきた」と明かした。ゴルフのスコア。ダイエットの目標体重。そして、年間勝利数。ただ、当時と比べ試合数が増加。「3つ足して80勝だな」と上方修正した。年間144試合となった07年以降、パ優勝チームの平均勝利数は78・25勝。代名詞の77を超えることが、栄冠への道となる。

 決して達成不可能な数字ではない。就任2カ月で、岩村、松井稼、ヒメネスら着々と補強に成功。さらに、エース岩隈も残留とあって、他球団の警戒レベルはマックスだ。それでも、慢心はない。「他のチームもレベルアップしている。キャンプは厳しく行くよ!

 本当の地力は、まだない」と底上げを図るつもりだ。

 一方で、もっと先も見据える。「優勝を目指す中で反省が出て、何が足りないか分かる。それが2年目につながるんだ」と強調した。「11年は田中がエースになってもいい」とも。田中が岩隈を押しのけるほど活躍すれば「80」に近づくはず。志高く、戦いの年を迎える。【古川真弥】

 [2011年1月1日8時4分

 紙面から]ソーシャルブックマーク