3月25日に予定されているプロ野球パ・リーグ開幕は、延期されることが14日までに濃厚となった。パ各球団幹部は、被害が拡大し続ける東日本大震災の影響を憂慮。「開幕を延期すべき」との意見、私見が相次いだ。被災地の仙台を本拠地とする楽天を含め、リーグとしてのコンセンサス(意見の一致)を得ることは確実とみられる。15日に行われるパ緊急理事会で意見を集約、一本化し、その後の12球団実行委員会で承認される見通しだ。

 15日の臨時理事会を前に、パ各球団は開幕延期の方向に傾いていることが分かった。ロッテ石川球団本部長は「NPB(日本野球機構)に決めてもらって、従うだけ」とNPB側のリーダーシップを求めながらも、意見を求められた場合、球団として「延期」の意見を伝える。「延期という声もあるし、強行する意味もない。開幕を2~3週間延期することは仕方ないということになった」との考えを示した。千葉での代替開催案が浮上する可能性もあるが、「だからといって、千葉でOKかというものではない」と続けた。本拠地に直接被害のなかった西武の前田球団本部長も、「大変な震災で多くの方が被害に遭われている。そう考えると、ゲームの方は難しいのではないかと思います」と開幕延期を支持した。

 現実を照らせば妥当な結論といえる。14日早朝から、Kスタ宮城に建築の専門家が入り球場の損傷度を詳細に調べた。外観に大きな損壊がなく、球場本体の復旧には長い時間はかからない可能性が高い。だが楽天米田球団代表は「物理上可能だから『試合を行う』は違うと思う」と述べた。交通網は寸断されている。球場周辺のホテルは閉鎖されている。ガスの復旧には約3週間かかる見立てがある。

 道義上の問題もある。被災地の多くで停電が続き、関東などの1都8県でも計画停電が行われている。デーゲームで試合を行うとしても、球場内では多量の電力を使う。また、予定通り開幕すればチームにより調整度合いに差が生まれる。何より、東北地方での人命救助が最優先されている社会全体の現状で、楽天を含むパ・リーグのプロ野球興行実施は適切ではない。

 楽天星野監督は「私は決定に従う立場。軽はずみなことは言えない。会議で決まったことを受け、選手に話す」と私見を強調しながら、「困難なときは、シンプルに考えることが非常に大切。スケジュールを組み直す方が前向きだ」。協約に記される野球の定義「文化的な公共財」の「公共」が揺らいでいる以上、試合はできない。期間や延期された試合の扱い(中止か先送りかなど)は協議が必要だが、開幕延期そのものはすんなり一致の見込みだ。