セ・リーグは19日、都内で臨時理事会を開き、公式戦開幕をすでに発表された3月25日から延期して、同29日に変更することを決めた。18日に文科省が日本野球機構(NPB)に東京電力、東北電力管内での電力需要に鑑みナイターを行わないよう要請したことを受け、協力することで一致。徹底した節電対策を講じ、レギュラーシーズンでは延長戦は行わず、9回で打ち切りとすることなども決まった。

 午後2時から始まったセ・リーグ臨時理事会は約5時間にも及んだ。文科省からの節電要請に協力するため「開幕延期」で全球団一致したが、時期については意見が分かれた。

 ヤクルトは、被災に見舞われたヤクルトレディも多数いることから、球団の意向として延期を強く要望。パ・リーグと同じ4月12日開幕を訴えたという。ヤクルト新(あたらし)常務取締役は「せめてパ・リーグと同じ開幕にしたかったが、大勢の意見もあって難しかった」と、押し切られたことを明かした。

 日程変更については、セ・リーグとして「ファンの皆さまへ」と題した文書で6項目にまとめて発表した。まずは当初の開幕から1カード遅らせて、3月29日開幕とする。次に4月3日までの18試合中、節電地域内で開催されるナイター6試合については、すべてデーゲームで開催する。同5日からは節電地域内で行われるナイターを「減灯ナイター」として、大規模停電対策を講じて開催することも決まった。東京ドームの巨人-阪神戦で減灯ナイターの口火を切る。

 節電対策の一環として、今季公式戦全試合について延長戦を行わず、9回で打ち切りとすることも決まった。消費電力が増える夏場の試合については、可能な限りデーゲームへの変更を検討するという。

 文科省の通知を受け、ようやく重い腰を上げたセ・リーグ。発表した文書の中で「選手の真剣なプレーをお見せしながら復興を全力で支援したい。例年とは大きく異なるプロ野球になるが、節電に配慮した試合開催にご理解頂きますようお願いします」とした。今後も原発問題など不測の事態があれば、再検討するという。

 1度は17日に予定通り25日に開幕すると発表した。しかし、前日18日に文科省からナイター開催自粛するよう異例の要請を受け、対応を協議していた。各球団にも抗議が殺到していた。世論や延期を要望したプロ野球選手会、さらには文科省の要請に突き動かされる形で異例の決着となった。