オリックスのドラフト1位、駿太外野手(18=前橋商)が29日、日本ハムとの練習試合で、日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)から実戦初となる三塁打を放った。「先輩たちに真っすぐがすごい、世界トップクラスの投手だし、打てないと思って割り切って行けと言われました」。助言に、素直に従った。3回の第1打席。「直球だけに絞っていた」。1ボールからの150キロ直球を左中間にはじき返し、守備がもたつく間に三塁へ滑り込んだ。

 「今まで直球をとらえられなかったのが課題だったので、余計に自信になります」。球界のエースから初対戦、初スイングでチーム唯一の長打をマーク。それでも「力がないので押されていた」と過大評価しない冷静さが駿太の長所だ。

 ダルビッシュに、大きなインパクトを残した。右翼守備では5回、中田の右飛でタッチアップした俊足村田を刺そうと三塁へ好送球。判定はセーフだったが、両軍ベンチが沸いた。ダルビッシュは「みんな、高卒1年目にしてはすごいとベンチで言ってましたよ」と話し、試合後はツイッターに「高卒新人の駿太選手に三塁打かまされました」と書き込んだ。

 疲労性の発熱で一時、1軍から離脱。その間に震災が起き、地元群馬では、放射性物質の検出によって農作物が出荷停止など影響が出ている。「実家の親も電池が不足しているから関西にあれば送ってと言ってました」。故郷の情勢に気をもみながらプレーし、開幕1軍候補に残った。右翼のレギュラーは森山、荒金と争っており、チャンスは十分。59年張本以来となる高卒新人外野手の開幕スタメンに近づく殊勲打だった。【押谷謙爾】