ヤクルト由規(21)が、飛躍を予感させる快投を演じた。30日の横浜との練習試合で、5回を無失点で切り抜けるのに要した球数は64球。昨年までは2回で70球を超えた試合もあったほどの荒れ球王が、抜群の安定感を見せた。「少しでも長いイニングを投げるのが先発の仕事だと思うので、リリーフに負担をかけずに投げきるつもりでやっていきたい」と手応えを口にした。

 変身のきっかけは21日のオリックス戦(京セラ)から実戦投入したカットボールだ。この日も9球を投げた。受けた川本は「最初の4球はダメだったけど、あとはいい変化をしていた」と評価。村田を遊ゴロに打ち取るなど、武器になることを証明した。さらに、カットを投げ始めた副産物として、スライダーの変化が安定し、ストライクが取れるようになった。

 前夜、サッカーの復興支援試合をニュースで見た。「豪華なメンバーでしたね。やっぱり、ああいうのはいいですね」と、被災者を勇気づけようという姿勢に共感した。この日投げた由規は、2日と3日のチャリティー試合に投げることはできない。だが、気持ちは地元の仙台とともにある。「いろんな思いはありますが、あとはやるだけです」。公式戦での快投で、地元にエールを送る。【竹内智信】