日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が「自粛ムード」で大役へと臨む。今日12日の札幌ドームでの開幕戦、西武戦に先発。球団史上初の5年連続の開幕投手を任されるが、本拠地で軽めの調整を終えた11日は、大一番で恒例のビッグマウスを封印。東日本大震災の影響で遅れた1年の始まりに胸に秘めた思いを明かし、マウンドへ向かう。

 大震災から、ちょうど1カ月。胸躍る1年のスタートラインを翌日に控えても、気勢を上げることなく、粛々と言葉をつないだ。「いろいろあったと思います。(1カ月など)みんな区切りをつけたがるけれど(復興まで)まだまだ…。自分たちがやりたいことができるのは幸せですね」。陽動作戦のような挑発などは一切なかった。

 プライベートでも仲の良い西武の開幕投手涌井とは、過去5度の対戦で2勝1敗と好相性。開幕戦では初対戦でも「毎年、いい投手とやっているんで(意識は)特に…」とだけ話した。球団初の5年連続の開幕投手で、パでは60~63年の稲尾(西鉄)に並ぶ歴代2位タイの開幕4試合連続完投の記録もかかるが、「周りは変わりますけれど、オープン戦の延長線上」と、どこまでも自然体だった。

 過去4度経験した開幕戦とは趣が違う、1日になる。試合前には、野球ができる感謝の思いにあふれたセレモニーが実施されることが決まった。「見せましょう、野球の底力を。がんばろう!日本」と書かれた横断幕を両チームの選手たちが手にとり、被害を受けた地域、人々へと、北海道からメッセージを送る。

 その直後、マウンドに立つ。「夢とか希望とか与えられるかどうかは分からないですけれど、自分の仕事はまっとうしたい」。何をすべきか答えは見えないが、エースの使命である舞台に立つ。まず今日1日、1年間に全力投球する。ダルビッシュは野球、自分の持つ力を信じる。【高山通史】