東北の人たちに1つでも多くの勝利を-。QVCマリンでロッテと開幕戦を戦う楽天は岩隈久志投手(30)が先発を務める。5年連続開幕投手の大役を担うエースは今日12日、30歳の誕生日を迎える。11日、同球場で調整を終えると「勝って東北に勝利を届けたい」と力強く誓った。
練習を終えた岩隈に、ちょっとしたサプライズが待っていた。仙台のテレビ各局がバースデーケーキを用意していた。30歳の誕生日を1日前倒し。自らも震災被害に遭ったテレビマンたちが「こんなときですから」と、あえて明るい話題を作った。粋な演出に、岩隈は「30歳なんて、考えたくもないですね」と顔をほころばせ、ひと息でろうそくを吹き消した。
星野楽天の公式戦初陣であり、自身の初戦であり、半月遅れの開幕カードである。さまざまな意味合いを持つマウンドを「特別な試合になる」と言った。あの日から1カ月。今季へ、チームの誰もが抱く思いをエースもまた口にした。
岩隈
(東北の)みなさんの思いを背負って、一緒になって戦いたい。チーム一丸で戦います。勝利、夢、希望、笑顔を届けたい。
1カ月以上たって戻った地元で、心に刻まれた風景がある。8日、チームメートと宮城・女川の避難所を訪れた。仙台からの道中を含め、津波の傷あとを目の当たりにした。「僕らの住んでいる町が、ただの町じゃなくなってしまった。だからこそ、頑張らないといけない」と熱を込めた。その日の深夜、バスで千葉入り。先発4日前に長距離移動を味わったが「ユニホームを着ている以上、つらい顔は見せない。みんな気合、入ってますよ」と開幕モードに切り替わっている。
星野監督の信頼は厚い。「選手にあまり重圧をかけてはいけないのは分かっているんだが」と気遣いつつ、こう続けた。「聞けば明日は岩隈のバースデー。開幕投手にして良かった。あいつは必ず勝ってくれる」と断言した。昨季日本一のロッテが相手だが、岩隈は「1番、2番の足は警戒しないといけないけど、だいたい頭に入っている。問題ないです」と頼もしかった。多くの人の思いが、特別な12年目シーズンの原動力となる。つかむは、ただ1つ。勝利。【古川真弥】



