阪神真弓明信監督(57)が、就任3年目の決意を激白した。開幕前日の11日、甲子園の全体練習で外野の芝生に立ってナインの最終調整を見つめた。思いはひとつだった。
「去年は悔しい思いをした。今年はしっかりと最後まで野球をやって、(ファンに)喜んでもらうシーズンにしたい。必ず頂点に立ちたい」。
目標は日本一しかない。開幕の再延期により、今季は最長で11月中旬まで続く。最後までグラウンドでプレーすることを誓った。
最も充実した戦力で開幕を迎えた。主力に目立った故障はなく、キャンプ当初はリハビリスタートだった金本、城島が復調した。
「今年は力のあるチームだと思う。ベストで戦えば、いいシーズンになる」。
手応えは十分にある。それでも開幕直前で、独特の緊張感は隠せなかった。
「前の日になって、さあシーズンに入るぞという感じだ。ちょっと焦りもある」。
勝負事は何があるか分からない。それは4位、2位で終えた昨年までの戦いで痛いほど知っている。だから「焦り」という言葉が出た。
過去2年は、開幕ダッシュの重要性を説いてきた。今年は違った。「全部大事だ」。開幕から最終戦まで、とにかく勝ち抜くことしか頭になかった。
「真剣に野球をやって、一喜一憂してもらい、少しでも辛いことを忘れてもらえたらいいと思う」。
全国に阪神ファンは多い。被災した東日本の虎党への思いも胸にある。悔しさを晴らす1年がいよいよ始まる。【田口真一郎】