阪神新井貴浩内野手(34)が開幕前日の11日、甲子園で全体練習に参加し、今季を「特別な1年」と位置づけた。11年シーズンは今日12日、広島戦(甲子園)でスタートする。労組選手会長としての1カ月の奮闘をへて、虎の4番として初の開幕を迎える。重責を背負い、チームの、そして、日本の元気の源になる。

 いよいよ、時は来た。甲子園のスコアボード、4番目に光る名前は「新井」だ。猛虎の4番として、初めて迎える開幕。尋常ではないプレッシャーと戦う覚悟はもう、できている。

 新井

 頑張ります。去年は途中からだったけど5月から(4番を)打って、経験は多少ある。どんなものなのか、経験値はある。必ず良い時もあれば、悪い時もある。いつも言っているけれど、波を小さくしてやっていければと思う。

 熱いまなざしで力を込めた。チームのため、悲願のセ界制覇を勝ち取るため、そして、つらい現実と戦う人たちのために。持ち味である積極打法を貫き、チームプレーに徹する。

 新井

 後ろを打つバッターがしっかりしている。四球の数だけで一概にどうこう言えない。自分は選球眼が良い方ではないし、積極的に振っていく方なので。状況に応じて、つなごうという打席も長いシーズンでは出てくる。

 あれからもう、1カ月がたった。3月11日、東日本大震災が発生した。日本全国が悲しみに暮れる中、新井には使命があった。労組選手会長として先頭に立ち、何度でも開幕延期を訴えた。心身共に疲労しながら、セ・パ両リーグの4月12日開幕決定に尽力。義援金に募金活動、チャリティーマッチ…。想像できないほどつらい経験をしている人々のことを思い、被災地の復興を願う毎日だ。今後も支援活動は続けていく。そんな1年がスタートする。

 新井

 特別な1年になると思う。被災地の方々の方も向きながら、1年間プレーしたい。こういう状況の中で開幕を迎える上で、野球できることに感謝しながらプレーしたい。

 9日、被災者への激励メッセージを寄せ書きした横断幕には「想いを胸に共に頑張りましょう」と記した。前日10日には、個人でチャリティー活動を行う考えを明かした。今季公式戦で1本塁打につき10万円、1打点につき5万円を義援金として送る。今も苦しみが消えない被災者たちとともに、シーズンを戦い抜く。もちろん1年間、4番の座を譲らずに。

 新井

 そうなるようにやらないといけないですね。

 この日、甲子園で最後の準備を終えた。今日12日の広島戦からシーズンが開幕する。特別な1年。力の限り、熱い思いを体現する。【佐井陽介】