<広島5-1阪神>◇28日◇マツダスタジアム

 阪神真弓明信監督(57)の顔がみるみる紅潮していった。迫力満点の表情で審判団に詰め寄った。6回無死一塁。広島石原のバントは数十センチ浮いた小フライになった。

 素早くつかみにいった城島のミットをさえぎる形で、石原は前に足を踏み出しながらもう1度バットでコツン。球は地面に落ちた。判定はファウル。球審は「2度打ち」はなく、単なる城島のファウルゾーンでの落球と判定した。

 故意の2度打ちでアウトをアピールする城島の後方から、監督が猛然と駆け寄った。1分、2分…。口調は次第にエスカレートし、今にも手が出そうなけんまくに。制限時間ぎりぎりの5分近く食い下がり、遅延行為による退場が宣告される前にようやく引き下がった。0-2でもう1点もやれない場面で、結局、石原に右前打でつながれ追加点を許した。

 真弓監督は「審判は見えてないでしょう。あれだけ(打球が)上がっているんだから。打席の中にいてもアウトでしょ。故意としか考えられない。あれだけ上がっていてさ」と試合後も怒りは収まらなかった。

 嶋田球審は「僕としては、バントして、城島選手が落として、ファウルとしか見ていない。僕がジャッジするところ。責任があるところですから」と説明した。塁審とは協議せず、球審がジャッジを通した。

 必死の抗議も実らず、またも「判定負け」。20日の巨人戦でも不利な判定を連発され、涙を飲んでいた。球団は要望書などを提出する予定はないという。なんともやり切れない1敗となった。【柏原誠】