ベテラン左腕が虎を救う!

 阪神下柳剛投手(42)が今日12日広島戦(甲子園)に先発することが11日、確実になった。この日の広島戦も雨で流れ、チームは横浜に3連敗後、2試合連続雨天中止となった。最下位に沈み、なかなか勢いを取り戻せない状況だが、今季初勝利をゲットし、チームを浮上させる。

 やまない雨音をBGMに、下柳は一心不乱に髪を振り乱した。蒸し暑い甲子園室内練習場。何度も何度も、ショートダッシュを繰り返す。迫力すら感じる姿だった。

 またも試合が雨で流れた。今季4度目の雨天中止は正直、避けたかっただろう。下位に沈む横浜に3連敗を喫した直後。10日には約4年ぶりの単独最下位にも転落した。1秒でも早く流れを変えたい。幸い、先発陣は6枚きっちりそろっている。何としても交流戦突入前に借金3を返しておきたい。

 今日12日広島戦は絶対、負けられない。山口投手コーチは「なるようにしかならん」と話すにとどめたが、雨天中止によりローテを再編成。先発が2度流れた能見は次カードの中日戦に回し、本来なら11日予定だった下柳に連敗ストッパーを託した。5月16日の誕生日で43歳。おそらく42歳最後となるだろうマウンドは、重要な意味を持つ。

 プロ21年目の今季はここまで3試合先発で0勝1敗。ただ、防御率は1・89と決して状態は悪くない。初登板の4月17日中日戦は7回無失点。2戦目の同24日横浜戦は7回2失点。前回5月4日の巨人戦も5回2失点と試合をつくっている。

 前回登板後は「5回で代わってしまう結果になってしまって申し訳ない。先発として、最低でももう1イニング、6回までは投げないといけない。みんな一生懸命、守ってくれている。また、次頑張りますよ」と熱い言葉を残していた。今度こそ、今季初勝利をもぎ取るつもりだ。

 この日は室内練習場で調整。キャッチボールを終えると、10~20メートルのダッシュを何本も繰り返した。登板前日の調整を順調に終え、準備は万端。借金を返済して交流戦開幕を迎えるには、残り4試合に全勝するしかない。チームが苦しい時こそ、下柳の力が必要になる。【佐井陽介】