<西武10-1ヤクルト>◇29日◇西武ドーム

 西武が先発全員の15安打の猛攻で今季2度目の4連勝を飾った。打撃絶好調の銀仁朗捕手(23)が、4打数3安打2打点と大暴れ。2年ぶりの猛打賞をマークし、交流戦の首位打者(4割2分4厘)にも浮上した。リードもさえる若き正捕手の活躍で、チームは約1カ月半ぶりに「貯金生活」に突入した。

 銀仁朗が当たりに当たっている。前日の守備で打者のバットがアゴに当たるアクシデントもあったが、この日も元気いっぱいの先発出場。4回に右翼線への二塁打で5点目の口火となり、5回と7回には2打席連続で中前適時打を放って大勝に貢献した。チームは4月17日以来の貯金生活。2日連続でお立ち台に呼ばれたヒーローは「うれしいですね。これからどんどん貯金を作っていきたい」と、声援に笑顔で応えた。

 高卒1年目で開幕先発マスクをかぶり華々しくプロ生活をスタートさせたものの、その後は伸び悩んだ。昨季まで5年間の通算打率は1割9分3厘。確率を上げようとボールを引きつけて打とうと意識しすぎたことも、裏目に出た。「直球には差し込まれ、変化球のボール球にも手を出してしまう」。悪循環から抜け出せない日々が続いた。

 しかし、昨年オフに細川がソフトバンクにFA移籍。正捕手に恥じぬ成績を残すため、キャンプから、課題の打撃強化に明け暮れた。銀仁朗は「今はタイミングを早く取って、ボールを前でさばくよう心掛けています。土井さん(ヘッドコーチ)が付きっきりでやってくれたおかげです」。開幕当初は結果が出なかったが、交流戦をきっかけに急上昇。2年ぶりの猛打賞で、交流戦の打率はついに4割を超え、12球団のトップに立った。「形がやっとつかめてきました」と、確かな手応えを口にした。

 打撃だけでなくリードも急成長し、交流戦のチーム防御率は1・96。銀仁朗は「(好調の打撃が)リードに影響していることはないですね。打撃が悪くなってリードも悪くなるのが一番いけない。打撃は打撃、守備は守備と切り替えてやっています」と、胸を張る。23歳。伸び盛りの正捕手が、西武の快進撃を支えている。【広瀬雷太】