大型連敗脱出へ「Wの秘策」だ!

 10連敗中の広島は8日、マツダスタジアムで全体練習を行い、投打両面で対策を講じた。チーム12本塁打にとどまっているが、待望のアーチこそ流れを変える“劇薬”。野手陣にはアーチ指令が飛び、打撃投手を通常より近くから投げさせて打ち返した。投手陣は野村謙二郎監督(44)が打者心理を説く「特別講義」を受けた。

 トンネル脱出に、カープが積極的に動いた。99年以来、12年ぶりの10連敗中。連敗中のチーム打率は2割4厘に低迷する。10試合で9得点、本塁打は1本も出ておらず、野手の奮起が欠かせない。

 ◆貧打解消策

 フリー打撃で打撃投手を通常よりも打者に近づけて投げさせた。球威のある球を強いインパクトで打ち返すのが狙い。浅井打撃コーチは「キャンプの時にやっていた。速い球を強く打ちにいこうと」と説明。“原点回帰”して鋭いスイングを取り戻させる意図があった。

 今季から低反発の統一球が用いられているが、もっともあおりを食っているのが広島だ。チーム本塁打数は両リーグ最少の12本。5月22日ロッテ戦(マツダ)で栗原が打ったのを最後に11試合連続ノーアーチだ。シーズンに換算すれば41本塁打ペース。球団のチーム本塁打数のシーズン最少記録(52年、120試合で29本塁打)こそ上回るが、51年の42本塁打(99試合)に匹敵。歴史的な貧打ぶりが不振に影を落としている。

 浅井コーチ

 シチュエーションによっては長打を狙っていってもいい。本塁打は流れを変えられる。

 4番に座る栗原も練習で強いスイングを繰り返した。首脳陣の「1発指令」に呼応するように言う。「練習からいい感じで振れていたら狙っていけるけど、いまは難しい。振れるか振れないかが調子のバロメーターになる」。昨季は5月7日阪神戦(甲子園)で久保田から本塁打を狙い打ったという。劇的に流れを変えるためにも、主砲の一撃に期待が高まる。

 ◆先発安定策

 投手陣には練習後、野村監督が講師役となり、映像とホワイトボードを用いて打者心理を説明した。6日ソフトバンク戦(マツダ)では福井が、速球を積極的に狙うタイプの松田にストレート系を投げて被弾した経緯がある。指揮官も「打者のタイプを把握していないといけない」と話す。カウント別の投手・打者心理などを投手全員で議論し合い、細かくチェックした。

 大野投手チーフコーチ

 勝ち星をつかむまで我慢してやる。極力、先発陣が点を取られないのが理想。(打者心理を)頭に入れておけば、投手有利になる。

 長すぎるトンネルから抜け出すため、チーム一丸となって勝機を見いだす。【酒井俊作】