<阪神4-2巨人>◇25日◇甲子園

 ボールを持っても、バットを持っても、フライパンを持ってもデキる男だ。阪神ランディ・メッセンジャー投手(29)が6回途中まで2失点に抑え、4勝目を挙げた。

 「全体的によかったね。いつも巨人を倒したいという気持ちがある」。

 日焼けで真っ赤になった顔をほころばせた。作戦勝ちだ。巨人打線の積極性を予測し、藤井彰と「球数を増やしてでもボールを散らす」とプランを立てた。変化球の割合を増やして的を絞らせず、初回と6回の1点ずつに抑えた。昨年11打数6安打だった坂本も3打席凡退に封じ込めた。

 2回には2死一、三塁から中前に同点打。来日2年目で初の適時打が大きな一打になった。

 「やっと打てたね。それ以降の投球の落ち着きにつながった」。

 巨人には昨年、先発と中継ぎの計7試合で1勝2敗、防御率7・80と散々だった。7連勝中の内海に“投打”で快勝し、きっちり意地を示した。

 8月に第3子の女児が誕生予定。おなかが重いベネッサ夫人に負担をかけまいと、198センチの巨体を丸めて台所に立つ。マーボー豆腐やメキシカンにも挑んだという。「奥さんにはできるだけキッチンに行かせないようにしてる。全部おいしいって言ってくれるんだ」と胸をたたいた。

 今季9試合の先発で3失点は1度だけ。あとは2失点以下に抑える安定感でローテーションを支える。マウンドでも家庭でも頼もしいシェフの手さばきだ。【柏原誠】