<横浜12-3中日>◇29日◇横浜

 落合竜が連夜のめった打ちを食らった。横浜相手に13安打12失点。2試合連続2ケタ失点は05年以来、6年ぶりだ。ついに貯金がなくなった中日落合博満監督(57)はこの日、登録されたばかりで2回8失点を喫した2番手小熊凌祐投手(20)をわずか1日で2軍降格させることを示唆。厳しさを打ち出し、勝率5割からの再出発をはかる。

 期待を抱いて送り出した若い力が次々と横浜打線の餌食となった。昇格後、初先発となった岩田が4回3失点でマウンドを降りると、1-3の5回からはこの日、昇格したばかりの小熊が上がった。

 3四球で2死満塁のピンチを招くと、代打スレッジにはフルカウント。変化球でストライクが取れない右腕は、武器である直球で勝負するしかなかった。メジャー経験もある強打者は待ってましたとばかりに148キロを右翼席へ運んだ。前日内藤に浴びたのに続く、最悪の満塁被弾だった。小熊は6回にも四球から4失点。スライダーの制球が悪く、直球も本来の威力を欠いた。

 「自分の投球ができなかった。前と同じように打たれてしまった。四球を出す前に打たれた方がよかった。課題が多すぎます…」。

 悔いの残るマウンドだった。5月21日西武戦(西武ドーム)で3本塁打を浴びての7失点で2軍落ち。自信を喪失しかけたあの日から1カ月。再びチャンスを得たが、実力を出し切れないまま沈んだ。

 「わかりやすいゲームじゃないか。あるよ。こんな試合は。1-0でも20-0でも負けは負けや。5割?

 借金がないことの方がおかしいだろ」。

 落合監督は連夜の大敗で貯金を使い果たしたことは笑い飛ばした。ただ小熊ら若手投手の話題になると厳しい表情で言い切った。

 「明日はいないよ。そういう世界だろう。そんなに甘い世界じゃないよ」。

 小熊、先発岩田らの即日2軍降格を示唆したのだ。

 3年目小熊は今年のキャンプで森ヘッドコーチが期待をかけた好素材だ。「打たれて学ぶことはある。ただ前と同じことをやっている。それは力がないか、学んでないかだ。2軍からの1番の推薦者があれじゃあな…。本当はもっといいんだけどな…」。もどかしそうな森ヘッドの言葉が横浜スタジアムに重く響いた。貧打線を投手陣の質と量で補ってきたオレ竜軍団の息切れ。守りの要・谷繁を欠く今、踏ん張りどころがやってきた。【鈴木忠平】