<阪神5-9横浜>◇30日◇甲子園

 ソロ、満弾、3ランで8ランてあんた、スレッジに打たれすぎ!

 中でも7回、逆転のグランドスラムが激痛だ。新人榎田が蓄積疲労で抹消となった日に「魔の7回」にズッポリはまった逆転負け。勝利の方程式が解けなければ、ヤクルトは離れるわ借金は増えるわ、ロードに旅立てませんで。

 真弓明信監督(58)は開口一番、自らの非を認めた。2番手小嶋に4イニング目の7回も続投させて、スレッジに逆転満塁弾を浴びた。ベンチでぼうぜんとなったその場面を質問されて言った。

 真弓監督

 ちょっと引っ張り過ぎた。失敗した。

 2点リードがフイになった。7回だ。満塁として、小嶋は残る力を振り絞った。64球目、143キロの直球はスレッジにとらえられた。沈黙した甲子園で4人の走者が次々とホームを踏みつけた。

 小嶋

 7回に打たれたら意味がない。今日は1回、1回と思い、全力でいった。序盤はいい形だったが、最後はああいう形になってしまった。(疲れは)なかった。もったいなかった。

 魔の7回となった。先発鄭凱文が3回でKOされて、昇格したばかりの小嶋が2番手で上がった。4回からの3イニングを44球でわずか1安打。最速149キロの直球を武器に9アウト中5アウトを三振で奪っていた。味方も4回に逆転して2点リード。小嶋は4年ぶり勝利、チームは勝率5割復帰がちらついた先に、落とし穴が待っていた。

 真弓監督

 (7回続投は)よかったから。ちょっと疲れたのかな。それまであんないいピッチングをしていたのでね。いけるところまでいってほしかった。

 先頭の代打一輝に中前打を浴びた。ここから3人連続で左打者。真弓監督は「スレッジまで踏ん張ってほしかったか」と質問されて「そう」と応えた。だが小嶋続投は痛恨弾をよんだ。

 くしくもこの日、新人ながら「7回」を抑えてきた榎田が疲労蓄積で登録を抹消された。「勝利の方程式」の1人が離脱。山口投手コーチは「7回の空白」について方針を示していた。

 山口コーチ

 みんなで状況、状態を見ながらやっていく。8回(小林宏)と9回(藤川)は固定して。

 しかしルーキー左腕の抹消初日にいきなり穴に落ち込んだ。皮肉にも、榎田は不在であることによって存在感が大きくクローズアップされる結果になった。

 8月の長期ロード前に勢いをつけたい横浜3連戦。初戦は4点差を追いつかれて引き分け、この日は逆転負けで借金2。首位ヤクルトがまた半歩遠のいて8ゲーム差になった。シーズンの勝負どころを見据えて抹消した榎田の穴。苦しい台所事情でも必死のやりくりで埋めるしかない。【益田一弘】