<横浜0-4ヤクルト>◇7日◇横浜

 ヤクルトの「ジャイアン」赤川克紀投手(21)が、大きなプロ2勝目をつかんだ。プロ初勝利を挙げた相手と同じ横浜戦に先発し、7回を4安打無失点に抑えた。課題だった制球難を克服し、無四球でまとめた。館山、バーネットら故障者が続出する中、首位を走るチームにニューヒーロー候補が出現。若き左腕の好投で、2年連続で同カード勝ち越しを決めた。貯金を10に戻し、2位阪神、3位巨人との差は4ゲームと広げた。

 ヒーローインタビューや取材、すべてを終えてロッカー室に戻った3年目左腕を祝福する声が、ベンチ裏まで響いた。赤川が、7回無失点で今季2勝目を挙げた。課題だった制球面も無四球でまとめた。「ストライク先行でいこうと思いました。点はやらないつもりで投げた」とはにかんだ。

 184センチ、92キロの堂々たる体格で、プロ入り後ついたあだ名はジャイアン。いかつい体に優しい風貌で、横浜打線に立ち向かった。1回2死からは3番スレッジを直球後に2球続けたスライダーで3球三振に切る。4安打は打たれたが、1~3番まで並んだ左打者は無安打に封じた。

 右手中指、薬指の血行障害で登板から離れる館山、不調の「バカボン」七条に続き、中継ぎエースのバーネットが右手首の剥離骨折で戦線離脱した。苦しいチーム事情の中、7回まで1人で投げ切った意味は大きい。小川監督は「コントロールも、変化球も良かった。本当に成長している。フォアボールがなかったのは大きい」とたたえた。

 前回登板だった9月1日の広島戦は、勝ち投手まであと1人の場面で降板を命じられた。「悔しい思いもあった。そこを何とか乗り切りたかった」と集中。1回1回の積み重ねで7回までたどり着いた。ナチュラルにカット気味に変化する直球に加え、フォーク、ツーシームが切れた。

 初勝利のウイニングボールは宮崎県の実家に送った。いつも神宮まで車に同乗させてもらう兄貴分の増渕には、焼き肉で祝福された。チームでは05年から村中、増渕、由規と3年連続で高卒ドラ1が活躍してきた。3人に続く存在としての期待を受けるが「まだまだ。2勝目ですから」とはにかんだ。優勝を争うチームに現れた待望の新星候補。シーズン終盤の勝負どころで、勢いを生む1勝をつかんだ。【前田祐輔】